現代社会はストレスのタネだらけ。増えることはあっても、ゼロにするなんて不可能だ。だが少しでも軽減し、メンタルをタフにする方法について調べてみた。

 一般的に有効なストレス対処法は何か。たとえば昔から、ストレスに効くことで有名な「笑い」。大阪府立健康科学センター(現大阪がん循環器病予防センター)では、「健康落語道場」を定期的に開催、観客のストレスホルモン(コルチゾール)を測定、落語では7割、笑いヨガでは9割の人のストレスホルモンの値が下がっていたという。

「笑うときの腹式呼吸は、運動効果とリラクゼーション効果がある。声を出すだけの『ニセ笑い』でもストレスには有効。何より笑うことで脳内がリセットされ、考え込んで悪化していくストレスの悪循環を断ち切ることができる」(福島県立医科大学教授の大平哲也医師)

 続いて食べ物。ストレスでつい食べてしまう人は多い。

「体にいい栄養素と、心にいい栄養素は違う。体ばかりに配慮していると、心がダウンしてしまう危険性がある」

 と、意外な事実を指摘するのは稲毛病院整形外科・健康支援科部長の佐藤務医師だ。体にとって「悪者」とされるコレステロールも、実は脳の神経伝達に必要な「髄鞘」や「細胞膜」の材料で、心の代謝には欠かせない重要な栄養素。肉や卵などに含まれ、動脈硬化を促進するとして嫌われ者のアラキドン酸も、体内で精神安定をもたらす至福物質となる。極端な食事制限はうつを招く危険があるという。

 ほかにもストレスと闘う栄養素とされるのは、ストレス時に体内で増える活性酸素を除去するビタミン、ミネラル、コエンザイムQ10など。また、抗ストレスホルモンの生成にかかわるビタミンCも重要で、これはサプリでも摂取したいところ。

AERA 2013年4月15日号