いま起きているのは「高齢者による高齢者のための政治」ではないか。高齢先進国ニッポンの今回の衆院選。本当の争点は「世代間格差」だ。

 11月21日、若者の投票率向上を呼びかける団体ivoteにより、若手議員と学生が選挙について語り合う初の「女子会」が開かれた。25歳で初当選した東京都文京区の上田由紀子議員(無所属)も参加。

「政治に若者が関心を持てない」

 といった意見に、20代でも政治を動かせる現実を語った。

 上田さんと同年代の都内の女性区議は、昨年秋から世代間格差の是正を訴えるポスターを街中に貼り、評判を呼んでいる。

「生涯を通じた『純受益』が最も大きいのは、70歳以上の3533万円で、最も負担が大きい将来世代は、純受益がマイナス7700万円、その格差は1億1233万円になります」

 と、ポスターにはある。純受益とは、税や社会保障など政府に納めるお金と、年金や介護、医療など政府から受け取るお金やサービスの「差額」のことだ。これが生涯でどんな収支になるかを示している。

 日本人の平均年齢は約45歳、有権者では約53歳となり高齢化度合いはともに主要国で一、二を争う。おまけに前回参院選の一票の格差は最大5倍だ。地方は投票率が高い高齢者が多い一方、都市部は投票率が低い若者が相対的に多い。

 その結果、実際の投票者の平均年齢が60歳近くにもなる。「新しい風が吹いた」とされる前回の総選挙でさえ、実態は「還暦世代の風」だった。最新の10年の参議院選挙は、投票者の平均年齢は57歳程度だ。これでは政治家の政策は高齢者向けになってしまう。

AERA 2012年12月3日号