児童ポルノ関連の事件や問題が後を絶ちません。根深いJKビジネス問題、氾濫する二次元ロリコンポルノをはじめ、女児監禁事件、最近では保護者会長による千葉女児殺害事件が世間を震撼させました。

 本書『性と国家』では、佐藤優氏と北原みのり氏が対談形式で、日本の「性」にまつわる問題を多角的に語っており、児童ポルノやロリコン・コンテンツにも触れています。



 北原氏は、日本のアダルト産業を「男性の性欲を満たす一大『射精産業』」であるとしたうえで、中でも一番盛り上がりをみせているのが「ロリコン・コンテンツ」だとし、その問題点を指摘しています。



 具体的には、"服を着ているからアダルトビデオではない"という建前のもと、少女がシャワーを浴びたり、バナナを食べさせるといった映像制作物が出回っています。しかも、それが、"成人コンテンツではないから違法ではない"とする社会状況だというのです。



 この日本の実情に対して、佐藤氏は海外の事情をこう紹介しています。



 「『週刊プレイボーイ』の編集者が悩んでいましたね。取材に応じてくれたアメリカ人に掲載誌を送らなきゃいけないんだけど、未成年の女の子たちを撮った日本版のグラビアはアメリカでは児童ポルノ扱いになるから一冊丸ごと送れないって。」(本書より)



こうした日本のエロに寛容すぎる現状に、北原氏は「ロリコン趣味の男性が少数派の一部の男性ではなくて、ロリコン表現がひとつの性愛の形として一般的に受け入られている」と危惧。しかも、それが「表現の自由」を盾に社会が支える風潮を疑問視します。それに関連して「AKB48がこれほどもちあげられる社会が気持ち悪い」とも苦言を呈します。



 「当時AKB48で一番人気のあった大島優子さんが『AKBaby』というコンテンツの『わたしと赤ちゃん作らない? ネットでね。』という広告に出て、当時の野田佳彦首相が『少子化対策だ』みたいな応援をしましたが、ああいうのが男の性欲のダダ漏れに見えるんです。<中略>メンバーは恋愛しちゃいけないのがルールとか、男性ファンの性的欲望を満たすために、彼女たちの人権を無視しているようにしか見えないです。」(本書より)



 一方で、佐藤氏は「覚醒剤が禁止されるのと一緒」であるとして、「自由論」を提唱したJ.S.ミルによる、自由の唯一の例外は他者に危害を加えることだとする「他者危害の原則」の考え方に基づきこう分析します。



 「覚醒剤の使用は、『私の体がボロボロになるだけだからいい』だけでは済まされないですよね。それによって幻覚を見て危害をくわえる蓋然性が高いから。児童ポルノだって、判断できない子どもたちを児童ポルノに巻き込むことによって、一生を無事に送ることができないような傷を負わせることだから他者危害です。<中略>AKB48のやり方は、アメリカのスタンダードで見た場合は児童ポルノだと思う。児童ポルノという認定にならないとしても、児童への性的搾取になると思う。」(本書より)



 クールジャパンの名のもとに、アニメやアイドルに潜むロリコン・コンテンツさえも輸出されている現状にあるロリコン大国ニッポン。そんなわが国にはびこるアダルト産業はもちろん、日本人の「性」について本書で今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。