を飼っているあなた。おうちの猫ちゃんの写真を友達に自慢する時に「これ、うちの猫なの」なんて言ったりしていませんか? それは大いなる間違いかもしれません。例えば"あなた"が猫にとっての"あたしの人間"。つまり主人は猫で、あなたは下僕、なんて思われているかも。


今回、初めて文庫化された猫好き必読の小説『あたしの一生-猫のダルシーの物語-』の中で、主人公の猫のダルシーは一緒に住む"あたしの人間"に対してこんな不満を漏らします。


「あたしの人間は よそのひとに、あたしをこう紹介するのだ。『私の子猫よ』。これにはあたしはおおいに不満」


「あたしは彼女のじゃないもの。彼女はあたしを所有なんかしていないし、あたしも彼女に従属してなんかいない。簡単なことだ。真実は反対。彼女があたしに従属しているわけ」


更に、ダルシーが"あたしの人間"に主従関係を教育しようとする、こんな場面も。


「あたしの人間に名前を呼ばれても、あたしは無視した。-片耳をほんの少し なんとなく尊大に動かして、あたしは彼女に 彼女の懇願がちゃんときこえていることも伝える。-しかるべき時間を置いて、彼女のところにのんびり歩く。つまり支配しているのはあたし、ということ」


次のページ