BOOKSTANDがお届けする「本屋大賞2016」ノミネート全10作の紹介。今回、取り上げるのは西川美和著『永い言い訳』です。



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 山形県にて、スキーツアーの観光客を乗せたバスが下りのカーブを曲がり切れずに滑落。崖の斜面を滑り落ち、湖に転落した。運転士2人を含む39人のツアー参加者中、11人が死亡。現在確認が進められている最中であるが、死亡者のうち1人はハンドルを握っていた運転士、1組は60代の夫婦、1組は19歳の女子大生ペア、そして40代の女性2人組――大宮ゆきと衣笠夏子であることが判明。



 事故が発生したとき、衣笠夏子の夫である有名作家・津村啓は、愛人と情事の最中。津村のなかで長年に渡る夫婦関係はすでに冷め切っており、妻が亡くなったことを知らされたときも、取り乱すことはなく涙を流すことすらありませんでした。



 一方、大宮ゆきの夫である長距離トラック運転手の大宮陽一は動揺を隠せません。残された小学6年生の兄・真平と、4歳の妹・灯を抱え、途方に暮れた陽一は、ゆきのアドレス帳を頼りに津村啓こと本名・衣笠幸夫に電話をかけます。いま自分の悲しみを共有できるのは、同じ境遇にある幸夫なのではないかと。そして幸夫と陽一、真平と灯の4人の間に交流が生じることにより、次第にそれぞれの心は変化を遂げていきます。

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