野口英世はストーカーだった!? 誰しもが加害者に成り得る"ストーカー病"とは (2/2) 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

野口英世はストーカーだった!? 誰しもが加害者に成り得る"ストーカー病"とは

このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOKSTAND

 本書では、このようなストーカー加害者につきものの「激しい思い込み、愛憎の入り交った執拗さ、飛躍した衝動性」などの共通性を、「ストーカー病」と名付け、さらに「執着型・一方型・求愛型・破壊型」など4つのパターンに分類しています。



 執着型の一例が、2012年に神奈川県で発生した「逗子ストーカー殺人事件」。加害者は、元交際相手の被害者と復縁したいという気持ちから、被害者に1000通以上も嫌がらせメールを送り付けていました。やがてその執着は復讐へと代わり、ついに被害者を殺害し、その直後に加害者は被害者宅の2階で首吊り自殺するという、凄惨な結末を迎えました。



 同事件は、早い段階で逮捕していれば未然に防げたとして、警察側の対応に批判が集中し、厳罰化を求める声も上がった事件です。しかし福井さんは、加害者に自殺願望がある場合、厳罰化は抑止力に成り得ないと指摘し、適切な治療を行うことが、新たな被害者を生み出さないための有効な手段であると訴えます。



 そうは言っても、「加害者治療の前に、被害者支援をすべきではないか」と思う人も多いでしょう。ところが、事件の被害者遺族は、以下のように語っています。



「連続メールで犯人が逮捕されても、刑務所から出たら妻を狙っていただろう。生きるも地獄、死ぬも地獄。逃げきれない。加害者の更生や治療が大事だと思うに至った」(本書より)



「被害者を二度と出さないためには、加害者をなくすしかない。加害者対策が必要だということを、これから世の中に訴えていきたい」(本書より)



 福井さんは、これらの遺族の発言を受けて、「加害者を治療しない限り、被害者が救われることはない」と述べ、ストーカー加害者をひとくくりに「よくわからない危険な人たち」と、"モンスター"扱いして切り捨てるのではなく、治療が必要な"病人"であると捉え、ストーカー対策議論の俎上に載せることを提唱しています。



 本書の最後は、「今や、誰もがストーカー加害者となり得、被害者にもなり得る時代といえるのである」という言葉で結ばれています。ストーカー行為をはじめ犯罪加害者1000人以上の治療にあたってきた経験に基づき、福井さんが述べるこの言葉に、私たちは耳を傾けるべきなのかもしれません。


(記事提供:BOOK STAND)

トップにもどる BOOKSTAND 記事一覧


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい