宮崎駿監督作品『風立ちぬ』との同日公開を予定していた『かぐや姫の物語』が、いよいよ今月公開となります。原作は、絵本や教科書で誰もが読んだことのある『竹取物語』。本作の制作秘話を、担当プロデューサーが明かしています。

『かぐや姫の物語』にまつわるエピソードが掲載されているのは、季刊の漫画雑誌『もっと!』。11月1日増刊号では、スタジオジブリ公認のもと「ジブリの狂気が大好き♥」という特集が組まれています。

この特集の中で、『かぐや姫の物語』のプロデューサー・西村義明さんは、映画化までの長い道のりを語っています。

「高畑監督は『ホーホケキョとなりの山田くん』のあとにやりたい企画があって、『平家物語』の中にある『巴御前』を映画にしたかったんですよ。(略)高畑さんが『彼としか映画を作りたくない』と言っているアニメーターがいて。それは田辺修という人間で、今回の『かぐや姫の物語』でも彼がキイになっているんですけど、その田辺さんが『平家物語』という企画に賛同しなかったんですよ」(西村氏)

つまり、もともと企画されていたのは『平家物語』のアニメ化。しかし、インタビューによれば、アニメーター・田辺氏の「『平家物語』のような軍記物は人が斬り合うわけでしょう。そんなものは作りたくない」という発言で、『平家物語』の企画が流れたそうです。そのため、代わりに題材として選ばれたのが、鈴木敏夫プロデューサーが提案した『かぐや姫の物語』でした。
 
今回の映画のキャッチコピーは「姫の犯した罪と罰」。原作『竹取物語』で、かぐや姫が罪を犯し、その罰としてこの地球に降ろされたことを想起させるコピーです。

「かぐや姫はなぜ地球に来て、なぜ去らねばならなかったのか。彼女は地球にいるあいだ何を思っていたのか。彼女が犯した罪とは、そして罰とは何なのか―--この3つの疑問が『かぐや姫』にはあるんですね。『私の映画は、この3つの疑問に答えようとするものです』と高畑さんは言うんです」(西村氏)

監督は、『パンダコパンダ』『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』と名作アニメを数多く手掛けてきた高畑勲。宮崎駿監督とともにスタジオジブリを立ち上げてからは、『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』などのリアリティーのある作品を作ってきました。

はたして、『かぐや姫の物語』は一体どのような作品になるのでしょうか。公開は、来週23日(土)です。