旅と読書の達人 椎名誠の「記憶の風景」をめぐる旅 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

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旅と読書の達人 椎名誠の「記憶の風景」をめぐる旅

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写真家、エッセイストとしても活躍している作家の椎名誠氏。地球上のいたるところを巡る、旅と読書の達人としても知られる椎名氏の新刊『風景は記憶の順にできていく』が、発表されました。



本書では椎名氏が、今までの人生で過ごしてきた風景を辿るように、かつて歩んだ地を再び訪れていきます。浦安、新橋・銀座、武蔵野、熱海、中野、神保町、浅草、四万十川、石垣島の白保、舟浮、銚子、新宿といったように、著者が過ごしたそれぞれの年齢における、体験やエピソードが、その場所の記憶と共に語られていきます。



「風景が消えないうちに、風景の多くの断片が衰えないうちに、それを大急ぎで回収するような気持ちでランダムに歩いてみた。もしかするとそういうところを歩いていくことによって何か途方もないものを見つけることができるかもしれない、というささやかな胸さわぎみたいなものもあった」



例えば、著者が20代から30代にかけてのサラリーマン時代を過ごしたとする新橋では、当時通っていた会社のあった場所や、馴染みだった居酒屋を訪ね歩いています。当時の風景と、今の風景を比べながら、変わりゆくものと、変わらないものとが描かれていきます。



椎名氏が「遠い記憶も、その朝見た夢も、どちらもやるせないモノクロームで投影される」と述べているように、本書では著者自身の撮影したモノクロームの写真と共に、ノスタルジーたっぷりに当時の記憶を振り返っています。



「ぼくはまだ、もう少し、人生のいろんな風景を見ていくことになるだろう。懐かしい風景をふりかえるよりも、数は少なくてもいいから、静かにこころ静まるまで眺めることができるようなやわらかい風景を見つけてみたい」



来年70歳を迎える椎名氏が「数々の自分の人生のなかに堆積した記憶の断層を掘りこんでみる」ことによって見えてきた、新しい風景とは。ぜひ本書で確かめてみてください。


(記事提供:BOOK STAND)

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