とはいえ、大町は50年の温室効果ガス排出実質ゼロへ向けた「2050ゼロカーボン宣言」を表明するなど、温暖化対策には積極的だ。

「原発事故で全町避難を経験した町だからこそ、気候変動という世界共通の課題解決に取り組む」と強調する。効率の高い空調設備の導入などを後押しし、再生可能エネルギーを増やす計画だ。

「何もしなければ、町の50年の排出量は20年の1.7倍に増え、温暖化に歯止めをかけるどころか、悪化させる側に回ってしまう。さらに今のままだと50年までの30年間で、町内全体で冷暖房に使う灯油代や電気代の合計は累積約800億円にのぼる計算です。エネルギーの“地産地消”の仕組みをつくり、こうしたお金が町内で循環するようになれば、活性化にもつながります」(町担当者)

 年内にも、地元企業と共同で地域のエネルギー供給を担う新電力会社を設立するという。

 ランキングでは意外にも、東京都小金井市(3位)や兵庫県芦屋市(5位)といった首都圏や関西圏の都市も目立った。

 小金井市は、もともと環境政策に熱心な自治体とされてきた。温暖化対策の地域推進計画を見直したばかりだが、その目玉は、市民参加型の「省エネチャレンジ」制度だ。家庭やオフィスで電気やガスの使用量を減らせれば、削減率に応じて域内で使える最大4千円相当の商品券がもらえる。8月から50組が参加し、省エネの取り組みを競っているという。

「市民の反応や制度の効果を見ながら今後、参加者を増やしたい。環境対策自体もさらに深掘りができれば、と考えています。自治体の役割も大きくなっていますので、もう一段、ギアを上げていく」(市環境政策課の担当者)と力を込める。

 都内でも、練馬区(9位)や杉並区(13位)、世田谷区(19位)などの特別区のランクインも目立った。

 世田谷区は昨年10月に特別区で初めて「気候非常事態宣言」を表明した。「多摩川周辺など19年秋の台風の被害を受け危機感が一段と高まった。区内は住宅地が多いので家庭向けの対策強化を検討中」(環境計画課)という。

次のページ