岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、岩手県遠野市の「ネコのゆりかご」です。

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 郷土文化を体験できる遠野伝承園。機織りの糸を入れるかごの中、生後3週間ほどの子ネコたちが寝息をたてる。カメラを構えたら、母ネコのエンに頭をパンチされた。ごめん。まず君に許可を取るのが先だよね。

撮影/岩合光昭 (c)Mitsuaki Iwago
撮影/岩合光昭 (c)Mitsuaki Iwago

 エンはデンとショウという兄弟とともに伝承園で生まれ育った。そして、自分が生まれた屋根裏で五つ子を産み、母になった。

 土産細工を作るおばあちゃんは来るたび、エンに弁当の卵焼きをすべてやる。お乳のぶん栄養な、と呟(つぶや)きながら。皆に守られ、エンは育ち、子ネコも育つ。

週刊朝日  2023年5月26日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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