※写真はイメージです (GettyImages)
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 健康のためにと必死に睡眠時間を確保しようと頑張っていませんか? たしかに睡眠不足は病気の元。認知症の発症リスクを高めることにもつながることが明らかになっている。だからできるだけ長く寝ているという人がいたら、それも要注意。実は睡眠過多も認知症リスクを高めるらしい。

【図表】睡眠改善インストラクター橋爪さんの「安眠七つの秘訣」はこちら

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 睡眠不足が負債のようにたまることが心身に悪影響を与えるとして「睡眠負債」という言葉が広がった。

「睡眠不足はアルツハイマー型認知症を発症させるリスクが高いということが明らかになっています。最近の研究で、睡眠には覚醒時に生じた脳の疲労を軽減し、認知症を予防する効果があることがわかってきました」

 こう話すのは、睡眠医療に詳しい中部大学生命健康科学研究所特任教授の宮崎総一郎さんだ。

 睡眠時には脳の中でゴミ掃除が行われているという。脳の細胞の隙間から老廃物が排泄(はいせつ)されることによって、異常なたんぱく質の蓄積を防ぐ。それがうまく行われなくなると、長い時間をかけて脳の中にゴミがたまり、脳神経が衰えてアルツハイマー病(認知症の一つの類型)になってしまうようだ。

 つまり、しっかりとした睡眠をとることが認知症予防に効果があるということだ。

 また、睡眠時無呼吸症候群は認知症になりやすいという。

 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり、再開したりを繰り返すため、深い睡眠がとれない「熟眠障害」を引き起こす病気だ。眠りは浅く、いびきが強く、いつも疲れる。そんな症状が続く人は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみてもいい。血中の酸素濃度が低下し、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなる。血糖値やコレステロール値も上がる。

 これだけでも体にとっていいことはないのだが、さらにはこんな危険性もある。

「不眠症や睡眠時無呼吸症候群になると、そうではない人に比べて認知症発症率が1.2~1.51倍に上がることが知られています」(宮崎さん)

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