CBDには様々な商品形態がある。ドリンクタイプ(撮影協力・VapeMania)
CBDには様々な商品形態がある。ドリンクタイプ(撮影協力・VapeMania)

 効果は期待できるのだろうか。オックスフォード大学出身の免疫学者・漢方医である新見正則氏は「実情はわからない」とした上でこう語る。

「CBDについて、国内で1千例規模の大規模臨床試験を行った事例がまだないし、製薬会社も動いている気配がありません。現段階ではサプリメント程度のものと考えて、使ってみて体質に合うなら継続して使用すれば良いのではないか」

 前出の佐藤教授はこんな注意点を語る。

「妊婦や授乳中の母親は使用を控えたほうがいい。神経の発達の途中段階である赤ちゃんに母乳を通じてCBDが摂取されてしまい、どんな影響が出るかわかりません。また、海外ではCBD入りのチョコレートを大量に食べた子供が、具合が悪くなって救急車で運ばれたという事例もあります。海外で作られたCBD製品にはTHCが含まれていることがあるため、子供の大量摂取は禁物です」

 もう一つ、こんな点にも要注意だという。

「CBDは強酸性下で加熱すると一部は違法物質のTHCに変化します。何もしなくても、年月の経過でTHCに変換されていく可能性があるので、水気・湿気のない冷暗所で保管する、長期保存は避けるなどの注意が必要です」(佐藤教授)

 そうした知識を持った者が、THCに“改造”して使う恐れはないのか。

「無免許で麻薬を製造する行為は、麻薬及び向精神薬取締法に規定される麻薬製造罪に該当します。麻薬製造罪は1年以上10年以下の懲役という重い刑が科せられます」(厚労省・山根課長補佐)

 行政側も、制度設計を急ピッチで進めている。

「国内で販売されているCBD製品からTHCが微量に検出され、市場から回収されている事例があり、安全な製品の適正な流通・確保が課題となっています。厚労省では輸入業者や消費者の方が安全に安心してCBDを利用できるように、昨年開催した大麻規制検討小委員会のとりまとめを踏まえまして、必要な取り組みを進めていきます」(同)

 佐藤教授は、CBDには「メリットもたくさんある」と前置きし、「メーカーは国内で検査体制を整え、使用期限・賞味期限を厳密に設定しなければいけません」と語る。

 課題はあれど、可能性も大きそうだ。(桜井恒二)

週刊朝日  2023年2月3日号