週刊朝日 2022年12月16日号より
週刊朝日 2022年12月16日号より

 ユーコン川をカヌーで下ったり、千曲川、信濃川、四万十川などで遊んだり、よく一緒に旅をしました。野田さんは9歳年上ですが、安保を経験した体制に批判的、懐疑的な世代で、気が合ったんですよね。

 距離感がいいんです。過剰にべたべたしないし、かといって疎外感もない。海外でも朝ホテルを出たら、勝手にばらばらなことをして、夜戻って「今日、どうだった」と。川を下っても、テントは別々。一緒にいて、居心地がよかった。

 ぼくの自宅に何回も来ました。書斎が気に入って、ベッドを入れて泊まっていきます。「辰野、この本、読んだか」と聞かれて、「読んだ」と答えると、彼が帰るとなくなっている(笑)。

 志を同じくする人たちに求められて野田知佑の看板が立つと、多くの人が行動を起こし始める。西郷隆盛の人柄は想像するだけですが、ひょっとしたら野田さんのような人だったのかな、と思います。野田さんにはただただお疲れ様でした、と言いたいですね。

週刊朝日  2022年12月16日号