野田知佑さん
野田知佑さん

 モンベル会長兼CEOの辰野勇さんが、今年3月に亡くなったカヌーイストで作家の野田知佑さんへ偲ぶ言葉を送る。

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 最初の出会いは1989年ごろ、岐阜・郡上八幡の旅館でした。長良川河口堰の建設反対運動に関わる人たちが宴会場のような部屋に集まって、食事をしながら話し合いをしたときです。

 ビールを持ってぼくの横にでんと座ってね、一番最初に名刺を出したんです。「作家 野田知佑」という名刺を見たのは、あのときだけ。一言二言話をして、この人は、まともな人だと思って、意気投合しました。

 野田さんは布製のファルトボートで犬を連れて世界の川を旅してきた。当時、スポーツとして激流を下るスラローム・カヌーの人たちから「ヘルメットもかぶらずに酒を飲んで川を下るなんてけしからん」と疎まれているところがあってね。後から聞いた話では、スポーツ系のカヌーを続けるぼくを「スラローム派の親玉」のように思っていて、意見が違ったらその場でぶん殴ってやろう、と考えていたらしい。逆に「ビジネスマンなのに権力に迎合しない」と評価されたようで、そこから長いつきあいが始まりました。

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