週刊朝日 2022年12月16日号より
週刊朝日 2022年12月16日号より

■親は婚活伴走者対話にコツあり

 平田さんは「婚活に対して、子ども本人が能動的であることが大前提」とくぎを刺す。

「学習塾を例にするとわかりやすいのですが、いくら親が子どもの偏差値を上げたい一心でさまざまなセミナーに参加したとしても、本人である子どもが勉強をがんばらなければ偏差値は上がりません」

 そのうえで、子が結婚についてどう捉えているかを整理し、共有する。誰のために結婚するのか。結婚候補の相手がいる場合には、相手のどこにひかれているのか。子自身の言葉で語れるかが重要だ。親は婚活を先導するのではなく、あくまでサポート役。これを怠ると、万が一うまくいかなかったとき、子が「親のせいで失敗した」と考えてしまうことが起こりがちだ。

「婚活というのは、恋愛から始まるものとは違い、条件ありきから始まります。結婚が目的ではないはずなのに、条件にとらわれてしまいがちです。その後の夫婦生活のほうが圧倒的に長いのですから、相手をどう思うかを整理して、親子で共有することが大事です」(平田さん)

 親子とはいえ、違う時代を生き、人生観も価値観も異なる別人格だ。結婚に対する捉え方も違う。子とのコミュニケーション、距離の取り方には繊細な注意が必要になる。

「息子、娘に結婚してほしいと思っているけど、どう切り出せばいいのかわからない、と悩んでいらっしゃる親御さんからの相談は多いです」

 そう語る平田さんに、親のNG言動や、子の結婚に対する考え方の秘訣を聞いた。

(1)結婚相手の条件を必要以上に言わない

「結婚相手の男性の学歴は早慶、一橋、東大以上でなければだめとか、女性の年齢は30歳までとか、親が頑なに条件を絞るケースは多々あります。子が婚活を窮屈に感じて、消極的になってしまうことになります」

(2)急かさない

「特に30代前後の女性は『結婚』というワードに敏感。親が焦って急かすと、重荷に感じてコミュニケーションがとりづらくなってしまう恐れがあります」

(3)他者との比較をしない

「近所の○○さんは結婚したとか、同級生の××さんは家族が増えたとか、悪気なく話してしまいがち。こうした会話は自分も期待されていると過敏に反応してしまいます」

(4)結婚の意思の有無は第三者に聞いてもらう

「結婚しないのかと直接聞くと、子は身構えてしまうこともある。親戚やきょうだいに世間話の流れで探りを入れてもらうほうが、さりげなく聞き出せるかもしれません」

(5)「結婚がすべてではない」という価値観も理解する

「先も述べたように、結婚しない幸せが選べる時代です。子どもの意思を第一に考えるのが最も重要です」

 今、婚活において親は伴走者。二人三脚を肝に銘じて、「代理婚活」という選択肢を考えてもいいのかもしれない。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2022年12月16日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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