■舞台の上に立つのはすごく怖い

──昭和の芸能界にはどんな印象を抱いている?

 すごく華やかで、今ではできないような豪華なセットとか、衣装や演出にしても一個一個が壮大なイメージです。

 活気のあるこの時代にタイムスリップしてみたいと思ったことはあります。今はSNSが発達して、エネルギーの向けどころが昔とは少し変わってしまったと思うんです。人と人が直接つながったりぶつかりあうことが減っているのかなと。

 でもポジティブなこともネガティブなこともふくめて、感情の源は一人ひとりのなかにあると思うので、そういうところがなくなってしまったらすごく寂しい。変わらないでほしいと思います。

──定と輝彦の関係のように“もう一人の自分”の存在を感じることは?

 僕、マイペースというか気分で生きているような人間なので。何もしたくなくて本当にぐうたらしてるときもあるし、でもいざスイッチが入ると、掃除とか片付けも時間を忘れて没頭してしまうんです。一個床の汚れが気になって拭きはじめたら、朝方まで家じゅうの掃除がはじまってしまうこともあります。

 そういうスイッチが入ったときには、気が済むまでやらないと嫌なんです。何もしたくないときは、してもはかどらないので、しないと決めてあきらめています。仕事だとそうもいかないので、無理やりスイッチを入れないといけないんですけど(笑)。

──輝彦のように世の注目を集め、スポットライトを浴びることにつらさを感じるときはある?

 カメラの前とか舞台の上に立つことはものすごく怖いというのは、ずっと変わりないですね。人に影響を与える仕事の怖さというか。あとは自分をさらけ出さないといけないのも、やっぱりものすごく勇気がいる。自分が出演した作品が一度世に出ると、何十年、何百年後も残っていく仕事なので、奮い立たせないとカメラの前には立てないです。でもそれを乗り越えないとお客さんに感動してもらえない。

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