映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」は、東京・シネクイントほかで先行公開中。28日から全国順次公開(c)CHOCOLATE Inc.
映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」は、東京・シネクイントほかで先行公開中。28日から全国順次公開(c)CHOCOLATE Inc.

「監督が、1984年生まれの38歳。主演の円井わんさんも24歳です。お話をいただいたときは、若くて、僕らの世代とはまた違う空気感を持っている方たちと接触をしてみたい気持ちがまずあった。それと、さっき言ったように、自分の中の仕事感としてループしている感覚があったのを、この作品が壊してくれそうな予感もしました」

 撮影のほとんどが、小さな広告会社という設定のオフィス内で行われた。何度も何度も同じ出来事が繰り返される一週間。映画の中では、プレゼン準備のために会社に泊まり込んだ若手社員が、窓にぶつかった鳩が立てた大きな音によって目を覚まして、同じ月曜日がやってくる。

「演じながら、自分が今、どこのタイミングで立っているのかわからなくなるような、悪い夢でも見ているような感覚に陥りました。同じ行動とセリフを繰り返す日々がずっと続いていたので、映画の中の世界のみならず、自分が普段生きている日常というものに対する疑わしさすら感じるようになって(笑)。でも、映画の中で若手社員たちが繰り返しの日常に心底うんざりしている一方で、ふと、『人間は、実はループする現実を作り出したくなる生き物で、その中で安心安穏と暮らしていきたいっていう欲望が強くあるんだよなぁ』『僕みたいに不安定な不規則な仕事をしている人間はとくに、根っこの部分では、安心安定が大好きなんじゃないか』。そんなことも、ぼんやり考えるようになったんです」

 安定して役のオファーがくることに疑問を持ったから受けた仕事で、自身の潜在的な安定志向に気づくことになったというのは皮肉だが、型破りな生き方をしているように見えるマキタさんも、ルールや規則は案外嫌いじゃないらしい。

「ネタ作りをするときなんかは、ルールとか規則を作るのがすごく好きですね。どうせなら、ネタ作りのシステムを構築したいんですよ。それができると何がいいかっていうと、ネタが量産できる。ネタ作りをする上で、毎回アイデアが降ってくるのを待つって、結構つらいことなので。会社組織にしても、仕組みって重要じゃないですか。ルールや規則が生まれるまでには、いろんな工夫が必要だけど、いったんできてしまえば、安心して走らせていくことができる。だから、仕組みを作るのと、その仕組みに則って走っていくのとでは、それぞれ違った満足感があると思うんです」

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