『深大寺の白鳳仏』(貴田正子 春秋社)
『深大寺の白鳳仏』(貴田正子 春秋社)

【東京】奈良で生まれし国宝はいかにして関東・武蔵野へ?
『深大寺の白鳳仏』(貴田正子 春秋社)1980円
 真光書店(調布市) 矢幡秀治社長

 わが街・調布には深大寺(じんだいじ)という由緒正しきお寺があり、国内外問わず多くの観光客が訪れる。そこには白鳳時代(飛鳥時代後期)を代表する国宝・釈迦如来像が所蔵されている。

 白鳳時代の傑作「白鳳三仏」の一つが、なぜ武蔵野の地にあり、どう伝来してきたのかを解き明かすこの一冊。仏像研究者たちも不明と結論づけたこのミステリーを、元新聞記者の魂によって明らかにする。

 朝廷内の濃密な縁と巡り合わせによって、奇跡的に武蔵野にもたらされた深大寺仏像の真実とは?

【神奈川】横浜と共に成長してきた中華街の歴史と文化を網羅
『横濱中華街 生業(なりわい)と文化』(「横浜中華街 生業と文化」編纂委員会 横浜中華街発展会協同組合)7920円
有隣堂店売事業本部(横浜市) 神谷康江さん

 開港後間もない居留地の一角から始まった中華街。横浜との融合を図りながら世界一のチャイナタウンに成長し、伝統文化を守り続けています。その独特の香りや空気は横浜人の肌になじみ、ハマっ子と異文化共生のシンボルといえます。しかしその道は決して平穏でなく、関東大震災、太平洋戦争、関帝廟焼失など苦難がありました。

 今、コロナ禍を持ち前のバイタリティーで克服しようとしています。名物店店主が歴史を語り、詳細な店舗情報はQRコードで。中華街の百科事典といえる唯一無二の書籍です。

■居酒屋のオーソリティーが歩いて見つけた酩酊、名店ガイド
『多摩川飲み下り(文庫版)』(大竹聡 筑摩書房)792円
文教堂

 文教堂本社は個性的な飲み屋が立ち並ぶ飲兵衛の街「溝の口」にございまして、夜が更けるほどに賑やかになるのであります。

 本書は多摩川上流の奥多摩から下流の川崎まで、約1カ月かけて飲み歩いた食ルポ。溝の口の有名居酒屋「たまい本店」が紹介されていますよ。名物は、まんまるとふっくらしたつくねに生卵が添えられた「金運つくね」。舌鼓を打つ著者のご満悦な様子を肴に、お酒が進んでしまうかも?

 おなかが空いている時は、決して読まないように気を付けてくださいね!

文教堂教室事業部ブックトレーニンググループ(川崎市) 青柳将人さん

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