ジャーナリスト・斎藤貴男「あえていま、石原慎太郎を批判する」

石原慎太郎

2022/06/22 11:00

都知事時代の石原慎太郎氏
都知事時代の石原慎太郎氏

 2月に死去した石原慎太郎元東京都知事は、作家・政治家として物議を醸す発言が絶えなかった。そんな過去を忘れたように石原氏を「礼賛」する報道が相次ぐが、本当にそれでいいのか。『東京を弄んだ男 「空疎な小皇帝」石原慎太郎』(講談社文庫)などの著書があるフリージャーナリストの斎藤貴男氏が本誌に緊急寄稿した。

【写真】石原慎太郎氏の「お別れの会」の様子がこちら

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 やっぱりこういう持ち上げ方をするのかと、悲しくなった。都内で6月9日に営まれた、故・石原慎太郎元東京都知事の「お別れの会」で──。

「歯に衣着せぬ物言いや、信念を貫く果断な行動。強烈な個性に惹かれた」と岸田文雄首相が挨拶した。安倍晋三元首相は、「時に傍若無人に振る舞いながら、誰からも愛された方」だったと偲んだ。

 訃報を伝えた2月2日付朝刊各紙の引用みたいな言い回し。自民党の後輩が亡き先輩を立てるのは自然でも、彼らの言葉は事実と違う。生前の石原氏による差別の数々は歯に衣や、いわんやポリコレどうこうのレベルではなかったし、あまりの傍若無人を心の底から憎んだ人も山ほどいる。

 私はあの日の礼賛紙面を許せない。あまつさえ4カ月が過ぎてなお、新旧の首相が揃って、手垢のついた筋違いを繰り返すとは。軽く済ませてよい事象ではないと思う。

 私は2003年にルポルタージュ『空疎な小皇帝 「石原慎太郎」という問題』を発表した者だ。衆院議員を経て1999年に都知事となって以来、「三国人」「(重度障害者に)人格あるのかね」「ババアが生きているのは無駄で罪です」等々、公の場で差別発言を連発していた男と、それが持て囃される社会はいかにして出来上がったのか、という疑念が出発点だった。

 拙著は幸い好評を以て迎えられ、版元を変えながら数次の文庫化も果たした。だがこの間にも石原氏は、いじめを苦にした自殺予告の手紙が文科省に届けば、テレビで「さっさとやれ」と追い詰めた。都議会で公費や人事の私物化を追及されると、「いかにも共産党らしい貧しい発想だ」とあざ笑う。東日本大震災には「天罰だ」。文芸誌の対談で、障害者施設の入所者19人を刺殺した犯人の気持ちが「分かる」と言い放ったのには愕然とした。

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