アメリカでアーモンド農家の人たちの若々しさに気づき、約20年間アーモンドの研究を続けているのが、慶応義塾大学医学部の井上浩義教授だ。

「以前はアーモンドを粒のまま食べるのを勧めていましたが、子どもや高齢者の中には、粒をかみ砕きにくい人もいます。でも、アーモンドミルクなら摂取しやすくなります。また、アーモンドミルクのほうが、そのまま食べるより栄養素の吸収率が2倍以上も上がるのです」(井上教授)

 アーモンドは栄養バランスに優れているのが特徴で、ビタミンE、オレイン酸、食物繊維、アルギニン、ポリフェノールなどが多く含まれている。

「ビタミンEは“若返りビタミン”とも呼ばれ、体内の酸化を防ぎ、細胞を若く保つ役割を果たします。アーモンドはその含有量がトップクラス。ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、食品の油や脂に含まれますが、年を取ると食事で脂をとること自体が苦手になりがち。手軽にビタミンEをとれるアーモンドミルクは貴重です」(同)

 オレイン酸も良質な脂質で、血中の善玉コレステロール(HDL)の量を維持したまま、悪玉コレステロール(LDL)だけを減らす効果がある。

「植物などに多く含まれ、酸化しにくいオレイン酸はオリーブオイルでも摂取できますが、少し風味が強く、アーモンドミルクのほうが摂取しやすいでしょう」(同)

 また、アーモンドは食物繊維を多く含む食品の一つ。食物繊維には、胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して活発な運動を促し、腸内環境を整える役割がある。

「私がアーモンドミルクを毎日飲んでいて実感するのは便通の良さ。市販のアーモンドミルクは粉砕したアーモンドを濾すので食物繊維が減ってしまいますが、私は自家製アーモンドミルクを作り、濾さずにドロドロの状態で飲んでいます。食物繊維をしっかりとれるのでおすすめです」(同)

自家製アーモンドミルク(アーモンドミルク研究会提供)
自家製アーモンドミルク(アーモンドミルク研究会提供)
レシピ提供:アーモンドミルク研究会(週刊朝日 2022年6月24日号より)
レシピ提供:アーモンドミルク研究会(週刊朝日 2022年6月24日号より)

 アルギニンはアミノ酸の一種で、体内では十分生成できず、食品から摂取する必要がある。アーモンドは含有量が多く、体の老化を抑制する効果があるという。ポリフェノールはビタミンEと同様に強力な抗酸化力があり、血流や脂肪燃焼を促す作用がある。

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