92歳女性“反戦ツイート”が話題 被爆経験、ウクライナ侵攻への思い言葉に

ウクライナ

2022/03/24 08:00

「人の命は何より大事」と話す森田富美子さん (撮影/写真部・高橋奈緒)
「人の命は何より大事」と話す森田富美子さん (撮影/写真部・高橋奈緒)

 92歳の一人の女性のツイッターが注目されている。長崎の原爆で両親と3人の弟を失った。ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにし、「戦争を知る私がいま、反戦の声をより強く上げなければ」という思いに突き動かされていたという。

*  *  *

 森田富美子さん(92)がツイッターで長崎での被爆体験を赤裸々に語り、戦争反対をそれまで以上に強く訴えるようになったのは、2020年8月9日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典での安倍晋三元首相のあいさつに憤ったことからだった。

「安倍という人は何も知らない。知ろうとしない。投下直後、自宅に戻った私は門柱だけが立っている家を見た。そこにメガホンを持ったまま寄りかかっている父がいた。顔は炭化して真っ黒になり、その大きく開けた口は爆風で飛んできたあらゆるものに塞がれていた」

 森田さんが式典の翌日に投稿したツイートだ。広島の式典とほぼ同じ文言を心魂なく口にする安倍元首相が許せなかった。

 森田さんは原爆で両親と弟3人を亡くした。自宅は爆心地から数百メートルの距離にあった。

 当時は16歳の女学生。「報国隊」として、爆心地から約10キロ離れた半島の軍需工場で働いていた。

「あの日も友だちと船に乗り、工場で働いてたんです。途中で避難した工場にある防空壕の横穴のなかでは、歌ったり、おしゃべりして笑ったりしてたの」

 突然、台風の何倍もの大きな爆音と爆風に体が吹き飛ばされそうになった。

「長崎が燃えている」

 男性の声に驚き、横穴を飛び出して近くの小山に慌てて登ると、市街地の方向に真っ黒なきのこ雲が立ち上っていた。

 家族の身を案じ、急いで帰路につくが、猛烈な火気で駅に近づけない。バケツ3杯の水をかぶり、山のほうへ迂回。そこで一晩を過ごした。

 道中で目にするのは、体の皮膚がベロリとむけた男性や細い道に並べたように埋め尽くす遺体。「水をください」とあえぐ女性の声も耳にした。

1 2 3

あわせて読みたい

  • ウクライナの平和祈り緊急特番 日本で考え、反戦歌を流す意味は?
    筆者の顔写真

    延江浩

    ウクライナの平和祈り緊急特番 日本で考え、反戦歌を流す意味は?

    週刊朝日

    4/3

    「何もしないよりマシでしょ」 ウクライナ侵攻に抗議し動く10代たち

    「何もしないよりマシでしょ」 ウクライナ侵攻に抗議し動く10代たち

    週刊朝日

    3/30

  • ウクライナ侵攻 情報は玉石混交 報道が担う「ファクトチェッカー」の役割

    ウクライナ侵攻 情報は玉石混交 報道が担う「ファクトチェッカー」の役割

    AERA

    3/10

    ウクライナ 大量無差別攻撃を止めるヒントは「日本の終戦」 東郷和彦×手嶋龍一

    ウクライナ 大量無差別攻撃を止めるヒントは「日本の終戦」 東郷和彦×手嶋龍一

    AERA

    3/24

  • 山本コウタローさんが願った核廃絶 ライフワークだった平和活動とは 広島・長崎原爆投下から77年

    山本コウタローさんが願った核廃絶 ライフワークだった平和活動とは 広島・長崎原爆投下から77年

    週刊朝日

    8/6

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す