※写真はイメージです (GettyImages)
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 松尾貴史著の『違和感ワンダーランド』(毎日新聞出版 1540円)の書評を送る。

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 毎日新聞別刷り「日曜くらぶ」に連載中のコラム「松尾貴史のちょっと違和感」をまとめた一冊。森羅万象に敏感な著者ならではの「違和感」が並ぶ。「普通においしかったです」「むずい」「〇〇はんぱない」といった言葉、言い方への違和感、ブーイングのなかの東京オリンピック、金メダルをかじる名古屋市長などへの違和感……。2020年7月から21年11月に書かれ、安倍→菅→岸田政権となったが、いまの感染、政治状況で読むと、まさにデジャブでもある。

「はじめに」では自らの“違和感”にも触れた。去年暮れに舞台に主演、かつてない疲れと息切れを感じ、念のために受診すると危険な「肺塞栓症」で即入院。<「何か変だ」と思ったら、意思表示をすること>を思い知ったという。近田春夫さんとの対談も収録。近田さんは<違和感は、次の時代の始まり>と話す。(村井重俊)

週刊朝日  2022年3月11日号