CO2モニター
CO2モニター

 また、医師の診断を受けないことで、他の病気を見逃す恐れもある。

「例えば発熱があり、喉が痛いと訴える患者さんは、溶連菌感染症の場合もあります。治療には抗生剤が必要で、重くなると心臓や腎臓に障害を残すこともあるのです」(上医師)

 ワクチン追加接種の遅れも、日本の足を引っ張る。欧米は日本などアジア諸国と比較して桁違いに感染者が多いが、バイデン米大統領が「学校閉鎖やロックダウンに戻ることはない」と語るなど、「Withコロナ」に舵を切ろうとしている。理由の一つは、オミクロン株にも効果が期待できるブースター接種が進んでいることだ。

「アワー・ワールド・イン・データ」によると1月26~27日の各国の3回目接種率は、英国54.4%、ドイツ51.3%、フランス46.9%、米国26%に対し、日本はわずか2.7%で、先進国中最下位に甘んじている。

 要は、追加接種の遅れが効果的な対策が打てない足枷となっているのだ。上医師は、従来の「3密回避」中心の政府や自治体の対策をこう批判する。

「分科会の尾身茂会長は相変わらず『人数制限』などと言っていますが、3密回避の効果は限定的です。コロナは空気感染するのですから、対策の中心は換気。米サイエンス誌は室内の二酸化炭素(CO2)濃度を700~800ppm以下に維持することを推奨しています。CO2モニターは1万円以下で家電量販店でも購入できるので、個人でもチェックが可能です」

 換気がしにくい建物では、高性能な「HEPAフィルター」を搭載した空気清浄機がウイルス除去に有効だという。

 こうした現実を見ずに同じ対策を繰り返すだけでは、日本は世界から取り残される。ウイルスの特性に即した合理的な対策が求められている。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2022年2月11日号