2015年のライブで歌う沢田研二
2015年のライブで歌う沢田研二

 ジュリーの「初詣ライブ」が大盛況で幕を下ろした。4年ぶりのバンド編成の演奏にファンは歓喜。コロナ禍で声援はぐっと我慢しつつも、どの会場も熱気に包まれた。大スターの衰えぬ人気はチケットの不正転売問題も生んでいる。

【写真】会場に飾られた寅年のオブジェ

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 2018年に「鉄人バンド」と呼ばれたバックバンドを解散させて以来、ギタリストの柴山和彦と2人だけでのライブ活動を展開していた沢田研二。2021年11月、東京国際フォーラムで行ったライブのMCで、約4年ぶりのバックバンド復活を予告していたが、今年1月に全国4カ所で開催されたライブツアー「初詣ライブ」ではその言葉どおり、7人のミュージシャンが脇を固めた。メンバーは柴山に加え、ベーシストの依知川伸一、ギタリストの高見一生、ドラマーの平石正樹、キーボーディストの斎藤有太、コーラスのすわ親治、山崎イサオ。それぞれ畑は異なるが実力派の面々だ。

初詣ライブの神事の告知
初詣ライブの神事の告知

 1月7日、東京国際フォーラムで幕を開けた「初詣ライブ」は神主による神事という異例のオープニングで始まった。神棚が設けられたステージで出演者一人ひとりの名前と本ツアーの会場名を読み上げ、安全祈願をする神主と神妙な面持ちでそれを受ける沢田たち。神事が終わると演奏が始まった。

 1曲目は1987年にリリースされたアルバム「告白−CONFESSION−」から「護り給え」。2曲目は2008年のアルバム「ROCK’N ROLL MARCH」から「神々たちよ護れ」。いずれも沢田自ら作詞を手がけた楽曲だが、改めて聴いているうちに「神事といい選曲といい、沢田さんはコロナ禍からファンを護りたいと心から願ってるんだな」と気が付いた。

◆73歳と思えぬセクシーな歌声

 毎年、筆者は沢田のライブを取材している。昨年までしばらく続いたボーカルとギターだけのライブは、試みとしては面白いのだが、何年にもわたるうちに音楽表現の面でもステージ演出の面でも大きな制約があると感じていた。ファンの中にも同じように感じている人は少なくなかったようで、SNS上でも今回のバックバンド復活はおおむね歓迎ムードだ。長年のファンで『沢田研二大研究』(青弓社)の著書を持つ國府田公子さんは今ツアーで受けた感動について次のように語る。

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