トンガの海底火山の大噴火から間もない1月22日未明、宮崎県と大分県を震度5強の地震が襲った。震源は日向灘沖で南海トラフ地震の想定震源域だ。一方、首都圏では未知の巨大地震の痕跡が。「アルマゲドン地震」は来るのか。
静岡県から宮崎県までの広範囲にわたって震度7の揺れを引き起こす「南海トラフ地震」。北海道から東北地方の太平洋沖の「日本海溝・千島海溝地震」。いずれも東日本大震災と同等のマグニチュード(M)8、9クラスの「アルマゲドン地震」と呼ばれる巨大地震だ。南海トラフ地震の発生確率は今後30年で70~80%、千島海溝では今後30年間で40%の確率で発生すると言われている。
だが、近年、「巨大地震の未知の震源」として注目されているエリアがある。しかもそれは、首都・東京に近い千葉県の房総半島沖にあった。産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)の宍倉正展・海溝型地震履歴研究グループ長は言う。
「房総半島の東側にはフィリピン海、太平洋、北米の三つのプレートがぶつかる『プレートの三重点』と呼ばれる領域があります。そのうち、フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈み込む領域があり、そこが破壊されると津波が発生する可能性があります。最近の調査では、約千年前に九十九里浜(千葉県)に巨大津波が発生していたことがわかりました。関東に大きな被害をもたらす地震としては、相模トラフの関東地震が知られていますが、それとは異なる震源です」
調査を担当した産総研らのチームによると、震源域は房総半島沖20~50キロの深さにあり、約1千年前に発生した津波は、九十九里浜の当時の海岸から約2~3キロの地点まで浸水したという。
なぜ、これほどの巨大地震がこれまで見過ごされてきたのか?
実は、宍倉氏らは「古地震学」という学問分野の手法を用いて調査をしている。宍倉氏が言う。
「古地震学では、主に明治以前の地震について研究しています。古文書などの歴史記録をたどりながら、地形や地層に残された地震や津波の痕跡を探して、過去の地震を探ることを主眼としていますが、それにより未知の巨大地震の存在が明らかになってきました」