インタビューに応じる山口壯環境相(撮影・大野洋介)
インタビューに応じる山口壯環境相(撮影・大野洋介)

 昨秋、英グラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)では「1.5度目標」が掲げられるなど成果と課題があった。日本はこの難題にどう取り組むのか。良くも悪くも注目された小泉進次郎氏の後を受け、昨年10月に環境相に就任した山口壯(つよし)氏に聞いた。

【写真】昨年11月にあったCOP26の会場

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──COP26では、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるという、パリ協定より踏み込んだ目標が示されました。

「大きな成果であり、今回の合意に日本が貢献できたことも非常に意義深いことです。パリ協定の『2度』目標では、海面上昇の影響を受ける島嶼国からはデス・センテンス(死の宣告)だという声が上がっていました。今回、オミクロン株の流行がもう少し早ければ、各国とも集まれていなかったでしょうから、無事、合意文書を採択できたのは、人類にとって本当に幸運だったと思います」

──山口さんは外交官として議長国の英国や、CO2排出量が多く、今後の気候変動対策の鍵を握る米国、中国に駐在したことがあります。COP26における各国の事情や思惑をどう見ましたか。

「グラスゴーのホテルから会場に向かう時、街にいろいろな看板が掲げられていたんですが、『KEEP 1.5度 ALIVE』とあった。英国は絶対にまとめ上げて、世界におけるリーダーシップを示すんだという気迫を持って臨んだと思います。いま、米中は世界の覇権争いをしていますが、気候変動対策においては米大統領特使のケリーさんと中国の担当特使の解振華さんが、意見交換し、関係を深めています。パンデミックの解決もそうですが、環境問題には国境がありません。私はグリーンを制するものが世界を制すると思っているのですが、米中ともにそういう意識があると思う」

──CО2排出削減策を設けていない石炭火力発電に関する文書で、「段階的廃止」がインドや中国の反対で「段階的削減」に修正されました。

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