駒大の大八木弘明監督から声をかけられる田沢廉(写真左)。青学大の近藤幸太郎を見つめる原晋監督(同右=いずれも2021年11月7日の全日本大学駅伝)
駒大の大八木弘明監督から声をかけられる田沢廉(写真左)。青学大の近藤幸太郎を見つめる原晋監督(同右=いずれも2021年11月7日の全日本大学駅伝)

 第98回箱根駅伝が1月2~3日に開かれる。前回は創価大がゴール手前まで首位を守ったが、最後に駒沢大が抜く激戦だった。今回はどんなドラマが繰り広げられるのか。注目校やエース、監督対決、初出場校など、見どころをまとめた。

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 優勝候補でいえば、前回の覇者で好調を維持している駒大。注目は、12月4日に1万メートル日本歴代2位の記録を出したエース田沢廉(3年)だ。前回の箱根では、区間7位と振るわず、屈辱を味わった。キャプテンとして臨む今回はエースの風格を見せ、「日本人トップの走りを見てほしい」と意気込む。

 10日に発表された16人のエントリーメンバーのうち、半数が2年生。前回は1年生ながら5区の山登りで快走した鈴木芽吹(2年)は田沢と並ぶ「2大エース」。ケガに苦しみ、今シーズンは「出雲駅伝」、「全日本大学駅伝」(駒大が優勝)ともに出場できなかったが、11月中旬ごろから練習もでき、距離走もこなし順調という。

 大八木弘明監督は、往路優勝にはこだわらない。

「できれば勝ちたいが(往路で)もし負けても、トップとの差が1分半~2分以内であれば復路で逆転を狙える」

 住友電工で陸上部監督を務める渡辺康幸さんは、「選手層が厚い駒大と青学大。この2校のマッチレースになるでしょう」との見立てだ。

 その渡辺さんが「往路で上位に来る」と見ているのが東京国際大、順大、創価大だ。

「この3校は往路に主力をつぎ込んでくるでしょう」

 東京国際大は10月の出雲駅伝を制している。主力には、箱根で2、3区の区間記録を持つイェゴン・ヴィンセント(3年)と日本人トップレベルに成長した丹所健(3年)がいる。丹所は、大志田秀次監督がこだわる「練習の継続性」を徹底し、この1年で力をつけてきた。東京五輪に出場した先輩・伊藤達彦(現・ホンダ)に刺激を受けた。

「合宿でも同部屋でしたが、足を痛めている中でもしっかり距離を踏んでいるところはさすがだなと。超音波などでケアをしながら練習を継続していた姿が印象に残っています。達彦さんが五輪で走っている姿を見て自分もそこで走りたいと思うようになり、モチベーションも上がりました」

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