支持者らと肘タッチを交わす細野豪志氏。“ファンサービス”はお手のもの!?(撮影/大谷百合絵)
支持者らと肘タッチを交わす細野豪志氏。“ファンサービス”はお手のもの!?(撮影/大谷百合絵)

 10月31日に投開票の衆院選で、静岡5区から出馬した細野豪志氏は、無所属ながら二階派特別会員として当選後の自民党入りを目指す。比例復活もない不利な戦いだが、公示日の出陣式では「長く野党に身を置いてきた私が自民党に入るには、これくらいのハンデを乗り越えなければ。できないなら議員を続ける資格はない」と覚悟を語った。

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 押し寄せた約200人の聴衆は、7割ほどが年配の女性。「山から下りて(見に)きたよー」などと声援が飛び交う中、細野氏はにこやかに一人ひとりと肘タッチ。その“マダムキラー”ぶりは、まるでスーパー銭湯アイドル・純烈のようだ。

 演説を聴いていた70代女性は、「落下傘候補で三島に降りてきた当時、自転車に旗を立て一人で田舎道を回っていた姿に感動した。何党に移ろうが私は細野党に投票します」。

 同区は、細野氏と自民党公認の吉川赳(たける)氏との“保守分裂”選挙で注目される。だが、吉川氏陣営関係者は「いやいや、自民党と無所属の戦いでしょう」と釘をさす。

「細野氏は『勝ったら自民党入りまーす』みたいに言っているが、決めるのは有権者ではなく自民党。地元県連の人たちがみんな反対しているのに、どうやって入るんですか」

 この対立で漁夫の利を得たいのが、立憲の小野範和氏。演説で「与党の内輪もめなんて見せられていたら、誰も政治に関心持てませんよね」と訴える。その様子を見守っていた、小野氏の母で前伊豆の国市長の小野登志子氏を直撃した。

「今まで細野さんを応援していたのに『今回はどこに入れたらいいんだ』と嘆く人は多く、立候補を感謝してもらえています。細野さんは学生時代に共産党とは相いれない思想になったと言いますが、もともと右系だったのに、なぜ今まで(旧民主党員として)人々を騙してきたのって。許しちゃいけないと思っています」

 自民からも立憲からも眉をひそめられる細野氏の未来やいかに。

 公職選挙法違反の罪で実刑判決が確定した河井克行被告の地盤・広島3区も激戦区。与党は公明の斉藤鉄夫国土交通相を立て、立憲の新人・ライアン真由美氏と争う。地元政界関係者がこう語る。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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