プロゲーマーを目指すべく、猛特訓を重ねる「マタギスナイパーズ」のメンバー(提供/エスツー)
プロゲーマーを目指すべく、猛特訓を重ねる「マタギスナイパーズ」のメンバー(提供/エスツー)

 世界中で大きな盛り上がりを見せている「eスポーツ」。コンピューターゲームやビデオゲームを使った競技で、プロとして活躍する人もいる。日本でも若者を中心に競技者が増えているが、最近はeスポーツにハマるシニア層が着実に増えている。その魅力や効果を探ってみた。

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 今年9月、秋田に65歳以上のeスポーツプロチーム「マタギスナイパーズ」が誕生した。運営するのは地元のIT企業「エスツー」で、6月からメンバーを募り始めた。県内在住の66~73歳の男女8人がチームに加入したが、大半が初心者。かつて喫茶店にあった「インベーダーゲーム」や家庭用ゲーム機の経験者がいるくらいという。

 一般的にeスポーツでは、ゲームに特化したパソコン「ゲーミングPC」を使うため、メンバーは専用トレーニングセンターに週2回集まり、eスポーツで人気のゲームを猛練習中だ。

 ある島に100人が降り立ち、生き残りをかける「フォートナイト」は、登録ユーザーが3億5千万人以上という世界的人気のゲーム。「学生のときより勉強してるよ!」と、教えられたことをノートにびっしりと書き込む熱心なメンバーもいる。

 チーム名は東北地方の猟師「マタギ」から。

「秋田は高齢化率が高く、自殺者が多いなど、ネガティブな要素が多いので、何かプラスのものを打ち出したかったんです。『シルバースナイパーズ』というスウェーデンの高齢者eスポーツプロチームの存在を知り、秋田にもマタギの文化があるのだから、この名前を背負ってシューティングゲームをやる意義があるのではと思いました」(エスツー・緒方無双さん)

 とはいえ、ほぼ素人のメンバーがすぐeスポーツ大会に出られるほど甘くはない。緒方さんも数年はかかると見ている。

「まずは一般の人より強くなることを目指します」

「マタギスナイパーズ」の活躍の場は大会だけではない。ゲーム実況動画の配信や、地域の高齢者や子どもたちにeスポーツを教えることなども視野に入れている。

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