自分自身をかけた大勝負の舞台なのに、みなさんに一度もお届けできないで終わるのか、と。でも誰が悪いわけでもないので、悔しさや悲しみをぶつけるところがない。他に出演が決まっている作品もなくて、道がぷつんと途絶えたような感覚になりました。そして、ミュージカルから一度、気持ちが離れてしまった。

 それまでは趣味と勉強を兼ねていろいろな作品のDVDをよく見ていたんですけど、まったく見られなくなりました。トラウマとまではいかないけれど、ミュージカルに触れることに躊躇(ちゅうちょ)しちゃう。それだけショックだったんです。現実逃避のようですけど、映画やアニメなど他のものでインプットをしていました。

──再び上演が決まった今の思いは?

 いくつもの奇跡が重なった巡り合わせの結果だと思っています。今年になって話が進んで、ようやく発表できたときの喜びはめちゃくちゃでかかったです。待っていてくださる方々にずっと伝えたかったから。

 ただ、まだ上演が約束されたわけではない。そういう世界になってしまっています。一度中止を味わっちゃうと慎重になるし、千穐楽(せんしゅうらく)を迎えるまでは気を抜けないです。

でも、中止の事態を想定するのは製作の方々であって演者ではない。俺らにできることは本番に向けて稽古を重ねて、自分を高めることだけ。座長としてもなるべくポジティブでありたいです。

──今作で演じるのは、新聞売りの少年(ニュージーズ)のリーダー。リーダー気質は出せそう?

 友達とご飯に行くときにお店を決めたり、誕生日会で幹事をやったり、プライベートではリーダー的な役割を引き受けることもあります。

 まあSixTONESの中にいると完全に甘えっぱなしですけど……。「お坊ちゃんで何もできない」キャラになっているので、それならもう何でもやってもらっちゃおうと(笑)。

 グループのリーダーは、(田中)樹(じゅり)かジェシーかな。樹はいつも気配りを忘れないし優しい。ジェシーはメンバー6人で大きなことを成し遂げるときにすごく頼りになる。

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