日経平均はバブル崩壊後の高値を更新した (c)朝日新聞社
日経平均はバブル崩壊後の高値を更新した (c)朝日新聞社

 自民党の新総裁の誕生で株価はどう動くのか。新しい経済政策への期待が外国人投資家を中心に高まっているという。国内中堅証券会社で長年にわたって調査を担当するA氏、外資系証券会社で、海外機関投資家の注文をさばくセールストレーダー・B氏、国内証券会社で自社の資産を運用するディーラー・C氏、国内運用会社でアナリストとして活躍するD氏に聞いた。

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(週刊朝日2021年10月1日号より)
(週刊朝日2021年10月1日号より)

──自民党総裁選を前に日経平均株価は31年ぶりの高値を更新しました。

A:日本株は動きだすきっかけ待ちの状態でした。今年2月に3万500円近くまで上げてから、半年以上も調整相場が続きましたから。菅さんの退陣表明のニュースで、ようやく調整が一巡した。

B:日本が調整中も、NYダウは上げ続けていましたからね。

C:売買代金の7割を占める外国人投資家が日本株を全然買ってこなかった。昨年1年間で現物・先物合わせて6兆円以上も売り越して、今年は買いに転じるかと思われたのに8月まで1兆円の売り越し。それも、4~8月は4カ月連続の売り越し。これは昨年春ごろのコロナ感染第1波のパニック売り以来のこと。

D:アベノミクス相場が一巡した2015年をピークに外国人の買いは細りっぱなしでしたね。ここ5年の売り越し額は計20兆円にも達している。新総裁と総選挙を経て本格的に外国人が買いに転じるかもしれません。

B:私のお客さんの9割は外国人なので、8月まで本当に暇でした……。それが、菅首相の退陣表明で急激に注文が増えて、ここ数年で一番の忙しさになりました。

A:表明を受けて、日経平均は連騰して、一気に3万円を回復しましたからね。

D:菅首相のことが気の毒になるほど、マーケットは活気づきましたね。

A:ただ、個人投資家はほとんど儲かってない。それどころか、損している人が多い。

──なぜですか?

A:先ほど言ったように、2月に高値をつけてから半年も調整を続けたじゃないですか。日経平均3万円に接近したら、下げに転じるという相場が続いたため、ダブルインバース(日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信/日経平均が値下がりするとその値幅の2倍のリターンが発生する商品)を買ったり、日経平均連動型ETFの信用売りでコツコツ稼ぐ個人が増えたんです。それなのに、菅退陣表明以降の上昇相場で踏み上げられてしまって、軒並み含み損ポジションに変わってしまった。日経平均3万1千円を超えてくると、ダブルインバースを抱える個人の損切り(日経先物の買い)が続出して上昇に弾みがつきそうです。

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