D:今でも個人はダブルインバースを買い増していますね。菅退陣表明直後の上昇相場でダブルインバースの信用買い残は2倍に増加して、日経平均3万円回復のタイミングでさらに1.5倍に増えています。その買い残は毎週、過去最高を更新し続けている状況なので、このまま上げ続けると、さらに個人投資家の懐は痛みそう……。

B:買い残が増え続けているってことは、日経平均が下がればすぐにダブルインバースの手仕舞い売り(日経先物の買い)が出る状態。日経平均は3万円を下値に底堅い動きが続きそうですよ。

D:主力株に対して、個人に人気の中小型株が出遅れていることも、個人投資家が儲かっていない一因でしょうね。

税率引き上げで出遅れる日本株

外国人投資家の売り越しが続いたが…… (c)朝日新聞社
外国人投資家の売り越しが続いたが…… (c)朝日新聞社

C:個人投資家はIPO(新規上場)でも稼げていない印象です。6月にはIPOした約20銘柄のうち4銘柄の初値が公募価格を割り込んだし、8月にも1銘柄が公募割れした。

B:でも、今後のマーケットは結局のところ、総裁選次第でしょう。

C:兜町の証券マンは、高市早苗前総務相に期待する人が多い。「サナエノミクス」はともかく、アベノミクスを継承するとした主張は受けがいい。ほかの候補者と違って、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標を凍結して財政支出を拡大させると言ってるし。

D:ただ、高市さんは、金融所得に課す税率の引き上げに言及している点でセンスがなさすぎる。アベノミクスは株高でもって成長力を底上げしたんですから。投資収益に対する増税を行ったら、日本株はますます出遅れること必至です。

A:対中強硬路線なのが気がかりですね。安倍前首相の支持を取り付けながら、最大派閥の細田派をはじめ主要派閥が自主投票とする方針のため、高市総理の目は薄いと思いますが……。

B:高市さんでも野田聖子幹事長代行でも第100代内閣総理大臣が日本初の女性だったら大きな話題になるでしょう。けれど、外国人投資家は完全に河野太郎行革担当相推しです。まず語学が堪能な点が高評価。外国人投資家の間では、河野さんが英語でスピーチしているYouTubeの動画が出回っています。英語がペラペラというだけで、外国人投資家は「われわれと同じ発想をする首相だ」と感じるみたい。

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