D:河野さんのように、ネイティブレベルで英語を使いこなす首相は、今までいなかった気がする。安倍前首相も「Buy my Abenomics」ぐらいしか印象にない(苦笑)。

B:おまけに、河野さんはジョージタウン大学生時代にアメリカ民主党議員の事務所にインターンしたりと、民主党の政策に明るい。アメリカでは1979年のスリーマイル島原発事故もあって、原発アレルギーを抱えている人が多いので、脱原発派であるところも高評価。極め付きは、移民政策。日本ではあまり注目されませんが、欧米先進国における移民受け入れは人道支援の一環。先進国の務めとも言える。その移民受け入れに積極的な河野さんは、抜群に外国人投資家からの受けがいい。

政策の転換点は株上がりやすい

A:河野さんが「安全が確認された原発を再稼働していく必要はある」と再稼働容認姿勢を示した翌日には東京電力の株価が11%も上昇しましたね。

B:河野首相誕生なら、外国人投資家は間違いなく、一気に日本株買いに動く。逆に、河野さん以外の候補が首相になるようなら、直近で買いに転じていた外国人の売りに押される可能性がある。

C:高市首相でも、ある程度は株高になりそうだけど……。

──岸田文雄前政調会長はどうですか。

D:岸田政権になっても、買い妙味がないんですよ。「大胆な金融政策と機動的な財政策を維持」と言っているように、現状の政策から変わるイメージがない。

B:外国人投資家は完全に岸田さんをスルーしてますね。新自由主義からの転換を明言しており、規制改革に消極的。

C:政策の転換点になるほど株は上がりやすいんです。その典型例が、小泉政権と第2次安倍政権。01年の小泉政権発足時はアメリカ同時多発テロの影響もあって日経平均は下げましたが、05年の衆院選自民党が大勝して郵政民営化法が成立した結果、日経平均は急騰しました。一方、12年の第2次安倍政権発足時は、民主党政権の社会主義的政策から資本主義政策に転換するパラダイムチェンジとなって、日経平均爆上げの契機となった。こうした“チェンジ”が株を押し上げる原動力となりやすいことを考えると、岸田さんには期待できない。

(ジャーナリスト・田茂井治)

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週刊朝日  2021年10月1日号より抜粋