次の首相は誰か。9月17日に告示された自民党総裁選が混迷を深めている。安倍晋三前首相ら“キングメーカー”の動向に注目が集まるなか、河野太郎行政改革相は長老たちに“ケンカ”をふっかけた。はたして、激戦の行方は──。

【写真】本当に仲良し?お揃いのエプロンで焼きそばを作る高市早苗氏と野田聖子氏のツーショット

総裁選への立候補を表明する河野太郎行革相(C)朝日新聞社
総裁選への立候補を表明する河野太郎行革相(C)朝日新聞社

 安倍政権を厳しく批判し、それゆえに党内で冷遇されてきた政治家が“戦場”に戻って来た。

 石破茂元幹事長は16日、自民党総裁選(29日投開票)に出馬した河野太郎行政改革相を支持する派閥横断のグループ「必勝を期す会」の設立総会に出席。すでに河野氏支持を表明している小泉進次郎環境相らと一緒に壇上にあがり、こう呼びかけた。

「古い自民党、派閥が横行する自民党を変えよう」

 この日、出席した国会議員は代理も含め57人。河野氏本人は公務のため欠席したが、ビデオメッセージでこう訴えた。

「石破さんや小泉さん、みなさんと一緒に、次の時代の自由民主党に改革し、前へ進む日本の国を作っていきたい」

「小石河連合」とも呼ばれる小泉氏、石破氏、河野氏の連携。狙いは党の運営に不満を持つ若手・中堅議員の支持の獲得だ。

 今回の総裁選では、党内7派閥のうち6派閥が候補者を一本化できず、自主投票となる見込み。これも、河野氏を支持する中堅・若手議員が中心となって派閥の会合などで長老議員の密室談議で総裁選が決まることを批判した結果、引き寄せた流れだ。自民党の中堅議員は言う。

「安倍政権になってからは官邸の意向で政策が決まり、党はただの追認機関になってしまった。党で政策をまとめても『官邸の方向性に合うようにしてくれ』と言われたこともある。そういった“党風”を変えるのが、今回の総裁選だ」

 自民党関係者は言う。

「河野さんや石破さんらが言う党改革とは、つまるところ『安倍支配からの脱却』。総理を辞めた後も党内で強い影響力を持つ安倍さんの存在そのものが、今回の総裁選の最大の争点です」

 派閥の縛りが弱まった異例の総裁選。その思わぬ結果として、自民党内の勢力図の再編成が起きている。

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
次のページ
永田町に衝撃が走った高市選対本部の発足式