現状では、相手が岸田氏にせよ高市氏にせよ、決選投票になれば河野氏が不利になるとの見方が強い。それでも、河野陣営関係者は党員票に望みをかけている。

「1回目の党員票で圧倒したのに、国会議員票でその結果をひっくり返したとなると、自民党は大きな批判にさらされる。それは危険なことだ。まずはそこに訴えて、党員票で圧倒的な差をつける」

 党員の間で人気が高い小泉氏と石破氏の相乗効果で、1回目の投票でどれだけ票をとれるかが焦点になりそうだ。一方、河野氏を支援する国会議員は「安倍さんと麻生(太郎・財務相)さんに敵対してきた石破さんに協力要請したのは大きなバクチだった」と話す。

 麻生氏は、総裁選で自主投票が広がっている現状を、こう警告した。

「負けたら冷や飯を食う。覚悟を決めた上でやってもらうことを期待する」

 仁義なき“総裁選アウトレイジ”の結末は、まだ見えていない。

(本誌・西岡千史、亀井洋志/今西憲之)

>>【後編:改革者か暴君か…河野太郎の素顔  側近議員は「脱原発封印」批判に反論「主張変わっていない】に続く


週刊朝日  2021年10月1日号に加筆

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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