美波さん(左)と林真理子さん [撮影/小山幸佑、ヘア:HAMA、メイク:AKII、スタイリング:谷崎彩、衣装協力:ステラ マッカートニー]
美波さん(左)と林真理子さん [撮影/小山幸佑、ヘア:HAMA、メイク:AKII、スタイリング:谷崎彩、衣装協力:ステラ マッカートニー]

美波:日本にあるフランスの学校に通っていました。でも、日本の学校に行ってもやっぱり生きづらさは変わらなくて。そういう思いもあって、文化庁の研修制度でフランスに1年行ったあと、そのままフランスで4年過ごしたんです。

林:そうだったんですか。

美波:でも、お芝居の仕事が大好きだった私にとっては、フランスで過ごせばすべて幸せ、というわけにはいきませんでした。というのも、フランスでは、お仕事がないんですよ。私は、中身は日本人として育ってきましたが、アジア人にしてはアジア人らしい容姿ではないから、アジア人枠のオーディションにも受からない。フランスは生きやすいけども仕事がない。日本は生きづらいけども自分の情熱を傾ける仕事ができる。どっちを選ぼうかと悩んだんですが、やっぱり自分のパッションを選ぼうと思って、仕事をするために日本に帰る決断をしたんです。

林:ええ。

美波:そう思った瞬間に、人生が変わりました。日本に帰る決断をした直後に、いまのフランス人の夫と出会ったんです。そして、日本とパリとロサンゼルスを行き来する生活を始めるうちに、この映画の仕事が決まって、いまに至ります。一つ大きな決断をすると、人生がガラッと変わるんだな、と思いました。それまでフランスで暮らすか、日本で仕事をするか、ずっと悩んでいたんですけど、「日本に帰る」という決断をしたら、思いもよらない方向から人生が変わった。いまは、これが自分が本当に求めていたライフスタイルかもしれないと思っています。

林:そうですか。今後はアメリカかフランスを中心に活動をする予定なんですか。

美波 どこかを中心に、とは決めずに活動しようと思っています。じつは、いまアジア人は世界でけっこう需要があるんですよ。多様性を尊重しなくてはいけないので。

林:あらゆる芸術作品に、有色人種を出演させなくてはいけない、という時代なんですよね。

美波:はい。それに、日本を題材にする作品って、けっこう多いんです。ただ、たとえばアメリカに住んでいる英語が母語の日本人、いわゆるアメリカンジャパニーズの人たちと勝負しても、英語力において私は絶対勝てません。だから、アメリカやフランスを中心に、と決めるのではなく、国際的な女優になる道を選択しようと思っています。夫は映画関係の仕事で、カンヌにも毎年行っていて……。

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