かびだらけの内壁 (さくら事務所提供)
かびだらけの内壁 (さくら事務所提供)
湿気で発生したキノコ (さくら事務所提供)
湿気で発生したキノコ (さくら事務所提供)

 突然、12階建てマンションの一部が崩れ落ちる様子は、特撮映画のシーンかと見まがうほど衝撃的だった。米フロリダ州で6月に起きた崩落事故。死者が98人に達した惨事の舞台は、築40年の高級マンションだ。このニュースを見て、マンション暮らしの人や、物件をさがそうとしている多くの人たちは、気が気でなかったかもしれない。

【衝撃写真】湿気で発生したキノコ

 それもそのはず、日本のマンション市場はコロナ禍で広がった在宅ワークによって、個室のととのった広い住居を求めるニーズが増え、売れ行きが好調なのだ。

 夫に妻、子どもと、家族それぞれがオンラインで仕事や学習をするようになったためだ。とくに大都市圏に住む人にとっては、勤務地や通学地への利便性を考えると、地方へは引っ越しにくい。土地付きの戸建てや新築マンションは高額となるため、物件も多いリフォームマンションが選択肢として注目されている。

 東日本不動産流通機構(東京都千代田区)によると、2020年度の中古マンション成約件数は約3万7千件で、この10年で24%増えた。利便性への人気が根強く、とくに大都市圏の中古マンション価格が値上がりする傾向だ。

 不動産情報サービスの東京カンテイ(東京都品川区)がまとめた家族世帯向け(70平方メートル換算)の中古マンションの流通平均価格をみると、首都圏は6月に4114万円と過去最高を更新した。15年1月から40%ほど上昇した。近畿圏も6月に2579万円となり、8カ月連続で上昇した。

 中古マンションは、長い年数を経てもリフォームで生まれ変わる。買い取り再販事業者がリフォームをして売り出すようなことも多い。もちろん見た目は美しくなるのだが、見えない部分に問題が生じていることも少なくないという。

 そこで被害に遭わないためにも、実際にあった中古マンションのずさんなリフォーム事例を紹介していきたい。

「マンションは結構、かびていて、業者には、リフォームにお金をかけたくないので、かびがあっても壁紙などをはるところもあります」

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