みうらじゅん (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
みうらじゅん (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
みうらじゅんさん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
みうらじゅんさん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 サブカル全盛の時代からともに活躍し続ける、みうらじゅんさんと作家・林真理子さん。ゆっくり話すのは初めてとのことですが、じつは意外なご縁があったようで……。

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*  *  *

林:お会いするの、楽しみにしてました。初めてですよね。

みうら:ありがとうございます。でも、じつはお会いしているんですよ、40年ぐらい前に。

林:40年前というと、私がコピーライターをしてたころですね。

みうら:そのころ僕は、美大を卒業してプラプラしてまして。美大の友達が糸井重里さんのアシスタントになったもので、僕は関係もないのに糸井さんの事務所に出入りしていました。

林:原宿のセントラルアパート?

みうら:そうです。ラフォーレ原宿の向かいにあった。あるとき急に雨が降ってきて、糸井事務所に電話かかってきたんだと思います。誰か傘がない人が、原宿の駅前で困っているということらしいんです。糸井さんが「みうら、傘を持って行ってやってくれ。水玉模様の服を着ているそうだ」って言うんです。

林:ええ。

みうら:「ああ、いいっすよ」って飛び出したのはいいけど、向かう途中で、傘を自分の分しか持ってないことに気がついたんです。でも、もうずいぶん歩いちゃったし、とにかく駅で水玉模様の人を探して、「迎えに来ました。すいません、傘、一本しか持ってこなかったんです」と声をかけました。そこから相合い傘で原宿の駅から表参道をセントラルアパートまで行ったんです(笑)。覚えてません? その方がまさしく林さんでした。

林:そうですか。私、たしかに水玉のワンピース持ってました。そのころは、ピチピチの女の子でした。20代中ごろで。

みうら:いや、僕も若かったですからね(笑)。

林:そんなご縁があったとは。

みうら:もうひとつ、せっかく林さんにお会いできたので、ついでに言いますけど、これも80年代かな。僕、新潮社の方から「小説書かないか」って言われて、新潮社クラブ(新潮社の宿泊施設)にカンヅメになっていたことがあるんです。

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