私は13年から東洋大で教えてきました。1期生の萩野は16年リオ五輪で金メダルを取り、卒業後もプロの選手として大学を拠点に練習を続けています。東京五輪に向けて教えている社会人、学生の選手の多くを日本代表に入れることを考えてやってきました。

 大学チームでOB、OGをコーチングする難しさは感じていました。年を追うごとにトップ選手と新入生の年齢が離れていきます。五輪のメダルを目標にする社会人とインカレの出場を目指す学生が同じプールで練習する中、ほかのコーチと協力しながら選手のモチベーションをどう維持していくか。試行錯誤の連続でしたが、1年間延期となった東京五輪を目前に、3人のトップ選手の覚悟を感じることができて、ようやく戦う態勢が整いました。

 ここからレース直前まで少しでも実力をつけて、必ずいい結果を出すんだという決意で東京五輪に臨みます。最後の最後まで絶対にあきらめません。応援をよろしくお願いします。

(構成/本誌・堀井正明) 

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる』(小社刊)など著書多数

週刊朝日  2021年7月23日号

著者プロフィールを見る
平井伯昌

平井伯昌

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/東京五輪競泳日本代表ヘッドコーチ。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる』(小社刊)など著書多数

平井伯昌の記事一覧はこちら