志麻:そうだったんですね。

林:でも、本格的すぎて、羽をむしったニワトリ調理で、「キャ~勘弁して!」って思ったのを覚えています。ソースのつくり方にしても、煮込んで漉(こ)したり、なんて手間かけるんだろうと……。

志麻:ル・コルドン・ブルーで習う料理は、たぶんフレンチレストランに近いと思うので、そう感じるんだと思います。フランスのお母さんたちがつくる家庭料理は、お鍋にお肉やお魚、お野菜とワインを入れて煮込むだけとか、意外とラクなものが多いんです。

林:知りませんでした。今度、新しい本が出たんですね。『志麻さんの魔法のソースレシピ』(マガジンハウス)という本ですけど、(本をパラパラめくって)基本のソースさえ覚えれば、いろいろレパートリーが広がっていくなんて、うれしいですね。

志麻:たとえば、お肉を焼いたりゆでたりするって、誰でもできる調理法じゃないですか。魚焼き器でサンマを焼くなら、料理の経験が少なくても、男性でも女性でも、どんな世代の人でもできると思うんです。

林:そうですね。

志麻:そこにちょっと南仏風のソースがかかるだけで、フレンチになっちゃうんです。いつもの料理にちょっとソースを添えるだけで、食卓の雰囲気はガラッと変わります。ソースのレパートリーをちょっと知っておくと、急にお客さんが来たときも安心なんですよ。冷蔵庫にあるもので、簡単におもてなし料理ができちゃうので。

林:私にもできそうなものがあるから、週末にでも頑張ってつくろうかな。……あっ、私の大好きなラタトゥイユ! 私も毎年、夏にル・クルーゼでたくさんつくりおきして食べるんですけど、温めても冷やしてもおいしいし、野菜をいっぱい食べられるし、こんないいものないですよね。夫は「こんなグチャグチャしたのイヤだ」って言うんですけど(笑)。

志麻:それなら、ちょっと硬めにつくって、焼いたパンや、パリパリに焼いた鶏もも肉に合わせるといいと思います。

林:試してみます。志麻さんは山口県のご出身ですよね。どんなご家庭で育ったんですか。

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