ターンテーブル式の電子レンジ(日本冷凍食品協会提供)
ターンテーブル式の電子レンジ(日本冷凍食品協会提供)
(週刊朝日2021年7月2日号より)
(週刊朝日2021年7月2日号より)

 コロナ禍の外出自粛もあって、家庭で冷凍食品の出番が増えている。手軽なうえ、有名店の料理にも劣らぬものも目立つようになった。それだけに、正しい保存や解凍の仕方でおいしく味わいたい。

【冷凍食品をおいしく「解凍」するポイントはこちら】

*  *  *

「バン!」

 冷凍庫から出して常温にしばらく置いた市販の「冷凍コロッケ」をパッケージから取り出し、いざ電子レンジで加熱したところ、衣が破れて“爆発”したことはないだろうか。電子レンジでなく、油で揚げていれば、もっと大変だ。

 加熱調理の前に、冷蔵庫や常温で自然解凍させておけば調理時間が短くなると考えていたら、危険かもしれない。

「冷凍コロッケなどはカチカチに冷凍したまま電子レンジで温めてください」

 こう説明するのは、日本冷凍食品協会の広報担当者だ。コロッケのように柔らかい食品になるほど、衣に穴が開きやすく、爆発しやすいという。

 加熱の原理を改めておさらいしておきたい。

 電子レンジは、食品に含まれる水分子をマイクロ波で振動させ、その摩擦熱を使っている。食品は必ず水分を含んでいるからだ。

 このため、自然解凍で表面だけが解けて内側がカチカチに凍ったまま加熱すると、解けたところは水分子が動きやすくなっている状態なので「その表面にマイクロ波がガンガン当たってものすごく温度が上がり、温度差が極端になる」。

 食品冷凍に詳しい鈴木徹・東京海洋大学特任教授は、こうしたマイクロ波の特性が、温度ムラを引き起こすと警告する。

 市販の冷凍食品はこのため、基本的に加熱直前まで冷凍庫に入れておく必要があるのだ。

 温度ムラといえば、冷凍グラタンなどが悩ましい。ホワイトソースの部分は温まっても、エビや野菜などの具材が冷たいまま、といった経験はないだろうか。

「常温から温めるのはワット数が高いほどいいが、冷凍ものは500ワットでじっくり温めたほうがいい。時間はかかっても、温度が均等に上がる」(鈴木さん)というので“急がば回れ”だ。

次のページ