生活困窮者の住まいに「空き家」活用 “事故物件”を危惧し増えぬ現状も (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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生活困窮者の住まいに「空き家」活用 “事故物件”を危惧し増えぬ現状も

山内リカ週刊朝日
※写真はイメージです (GettyImages)

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部屋を清掃し、きれいになったリビングとキッチン(リノベーター提供)

部屋を清掃し、きれいになったリビングとキッチン(リノベーター提供)

リノベーターが改修を手がけた物件(リノベーター提供)

リノベーターが改修を手がけた物件(リノベーター提供)

 近年、高齢者や障害者、生活困窮者やひとり親世帯などの入居を拒まない住まいを「セーフティネット住宅」と呼び、国が支援を始めているのをご存じだろうか。実は、これに空き家を活用する試みが始まっているという。コロナ禍で収入が減った人たちを支える取り組みの現状と課題を取材した。

【室内写真】空き家をリフォームして生活困窮者に貸し出している

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 宮本晨子(あさこ)さん(83)は、30年前に夫を、5年ほど前にひとり息子を亡くしているおひとりさま。今年1月から、東京都豊島区にある空き家を活用したセーフティネット住宅「共生ハウス西池袋」で共同生活を始めている。

 それまで長く住んでいた同じ豊島区内のアパートの家賃6万円が払えなくなってしまった。原因はコロナ禍による収入減だ。仕事は、警備会社の社員寮の賄い。十数年もの間、午前3時から午前9時まで住み込み社員の“母”となり世話をしていた。給与は月に10万円ほどで、他に夫の遺族年金などを含めると、ぜいたくしなければ十分暮らしていけた。

 だがコロナで状況が激変した。会社の業績が悪化して寮に住む社員の大半がいなくなり、宮本さんの給料も下げられた。

「5月の給料は1万2千円。そのうち4千円は『ごめんね、本当に少なくて』と社長の奥さんがポケットマネーから出してくれました」(宮本さん)

 家賃を払えなくなったのは昨年の秋ごろから。このままでは、建物明け渡しの強制執行が避けられない。困った宮本さんは同区の「くらし・しごと相談支援センター」で相談し、共生ハウス西池袋を紹介してもらった。

 共生ハウス西池袋はシェアハウスの形態をとる困窮者向けの一軒家だ。部屋は1階に1室、2階に3室。トイレや風呂、キッチンは共用で、家賃は共益費込みで3万9千円。入居時には敷金や火災保険料として家賃1カ月分がそれぞれ必要になる。

 宮本さんは賄いの仕事をやめ、6月から共生ハウス西池袋を運営する一般社団法人コミュニティネットワーク協会が開設した地域交流スペースで働いている。利用者に健康マージャンを教えるのが主な仕事だ。「これである程度の収入は見込める」と宮本さんは笑顔を見せる。


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