気になるのは、今からでも「買い」の銘柄だ。どのような投資スタンスでどんな株を選べばよいだろう。証券ジャパン調査情報部長の大谷正之さんは百貨店やメガバンク、総合商社に注目する。

「総合商社の中でも、丸紅や双日は株価の出遅れ感が強く、比較的まだ上がる余地が大きい。丸紅はエネルギー事業、双日は自動車や化学事業にそれぞれ強く、国内外の経済回復の恩恵を受けやすいと見ています」

 大谷さんは、日経平均は「9月までに3万2千円、年末までに3万4千円をめざす」と強気だ。株価が上がる余地が大きい銘柄もまだまだあると読む。そうした銘柄を見つけるには「例えば5年単位とか、長い目で分析するとよい」という。

「気になる銘柄があれば、1カ月単位で株価の推移を示す『月足チャート』を確認してみてください。数年前に高値をつけて以降、右肩下がりだったのに、昨年秋ごろから反転しているような会社は特におススメ。数年前の高値に向けて回復していく可能性があるからです」

 一例として大谷さんは鉄鋼大手の日本製鉄を挙げた。「足元の業績はまだ悪くても、景気回復に伴って鉄鋼需要が高まり、業績や株価は改善に向かうとみています」

 同社は22年3月期の最終損益が3期ぶりに黒字になる見通しだ。中国や韓国の鉄鋼メーカーをはじめ国内外で競争は厳しく、脱炭素に向けた対応も迫られる。だが高炉など生産設備の再編や、効率化に取り組んできたことで利益の底上げが期待されるという。

 株式評論家で、こころトレード研究所の坂本慎太郎所長が注目するのは、警備大手のセコムや医療用検査薬メーカーのミズホメディー、油圧機器メーカーのKYBだ。

「セコムは、東京五輪が開催されれば警備やセキュリティー需要に改めて注目が集まりそう。ミズホメディーは、コロナ向けの遺伝子検査の試薬キットなどが好調ですが、コロナの検査体制は感染が収まっても維持される見込みで、好調を維持できるでしょう。KYBは自動車需要の回復が油圧シリンダーの追い風になるのに加え、検査データ改ざん問題を受けて交換を求められた免震・制振装置の対応が、21年度にほぼ完了する見通しが立ったようです」

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