そしな/1993年、大阪市生まれ。2013年にせいやとお笑いコンビ「霜降り明星」を結成。「M―1グランプリ2018」で優勝、個人でも「R―1ぐらんぷり2019」で優勝。クラシックからボカロまで幅広くこなすが「(自分の)根幹にあるのはザ・ブルーハーツみたいなシンプルなロック」。 (撮影/写真部・加藤夏子)
そしな/1993年、大阪市生まれ。2013年にせいやとお笑いコンビ「霜降り明星」を結成。「M―1グランプリ2018」で優勝、個人でも「R―1ぐらんぷり2019」で優勝。クラシックからボカロまで幅広くこなすが「(自分の)根幹にあるのはザ・ブルーハーツみたいなシンプルなロック」。 (撮影/写真部・加藤夏子)

 テレビで見ない日がないほど、引っ張りだこの「霜降り明星」の粗品。世界的ピアニストとの競演などミュージシャンとして定評があったが、ついに自身のレーベル「soshina」を立ち上げ、音楽活動を本格化させた。

「学生時代に何となく趣味でやってたけど、先に結果が出たのがたまたま、お笑いやったんです」。笑いも音楽も、職業にするつもりはなかった。そんな“ギャンブラー”な人生に、新たなページが加わる。「漫才だけでは表現しきれなかったことを音楽で表現したい」という。

 決断したら、徹底的にこだわり抜く。「誰かに頼りっきりで、『このたび曲出しますねん!』みたいなノリは嫌。漫才のネタを作るように一から全部、編曲もディレクションもして、音楽を作りたい」

 レーベル最初の楽曲は、リスペクトする実力派ミュージシャンたちと才能をぶつけ合い、生み出した。映像も自ら監修し、絵コンテの一つひとつにも妥協を許さなかった。

 経験のないリスクをとるからこそ、その先に広がる夢に近づける。28歳の勝負師はまるで悟っているかのようだ。「やりたいことはめちゃくちゃあるんですよ。いつかはオーケストラもやりたい」

(取材・文/中将タカノリ)

週刊朝日  2021年4月16日号