菅原氏への捜査は、衆院議員で元法相の河井克行被告の公職選挙法違反事件と同時期にされていた。克行被告は、参院議員を辞職に追い込まれた妻の案里氏(有罪確定)とともに逮捕。

 菅原氏も克行被告と同じカネのバラマキであり、犯罪事実は認められたにもかかわらず、起訴猶予処分となっていた。こうした検察の「えこひいき」的な判断には、大きな疑問があがっていた。

 菅原氏の検察審査会の申立書では、以下のように計画的、常習的な手口を訴えられていた。

<秘書は、常に「菅原一秀」という文字が印字された香典袋を持ち歩き、選挙区内の有権者の逝去の情報を秘書が入手すると、「香典はいくらですか?」とLINEで尋ね、指示された金額を香典袋に包んで、秘書が代理持参していた>

<秘書に選挙区内の有権者に関する逝去の情報を収集させ(しかも、その情報を入手し損ねると、「取りこぼし」とされて秘書は罰金をとられる)、報告を受けて秘書に金額を指示して香典を持参させていた>

 それが検察審査会の「起訴相当」の判断につながったのだ。菅原氏の検察審査会の申立代理人の元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士はこう話す。

「河井夫妻と菅原氏の事件の根本は同じ構図です。河井夫妻はやるが、菅原氏は目をつぶってと検察が裏で政権と取引でもしていたんじゃないかと思いたくなる。黒川氏の場合も、起訴猶予だったが、犯罪事実は検察の捜査で確定していた。起訴相当の議決が1度でも出れば、アウト。菅原氏も起訴猶予ですが、検察審査会は起訴相当の判断。検察はまさに大恥をかいた。検察は黒川氏と同様に菅原氏を起訴する道を選ぶのではないか」

 自民党幹部はこう愚痴る。

「年内に衆院は解散、確実に選挙はある。すぐ菅原氏を議員辞職させて無所属で選挙に出してもいいのではないかという声もあった。しかし、4月25日投開票の衆院と参院補選、参院広島選挙区の再選挙、どれもが厳しい。3月15日までに菅原氏が辞めれば、同じ日程になるので、現実的じゃない」

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菅原元経産相は議員辞職すべき