実習するにあたり、学生らは1カ月前からアルバイトや不要不急の外出を自粛し、健康観察も実施。徹底した対策をした上で、病院側も受け入れた。学科長の中島恵美子さんはこう話す。

「普段から信頼関係が築けていた付属病院の存在は大きい。特に3年次の実習は5カ月にもわたるもので、就職後に影響が出るようなものが多い。制約がある中でも、実施できたのは意義がある。こうした評判は在学生から後輩、高校へと伝わっていくので志願者増につながったと思います」

 コロナ禍でも多くの志願者を集めているのは、やはりAIやITが学べる情報系だ。「情報工学」は前年比102%と志願者が増加した。

 情報系といえば理系のイメージがあったが、今は文系の情報系も人気を集める。明治大の情報コミュニケーション学部(情コミ)では、学部別入学試験の志願者が対前年比101%と増えた。

 春から同学部に通う女性(18)は言う。

「AIやIT系には将来性を感じます。人工知能を使った携帯の音声認識サービスはとても便利ですし、アトラクションで使われるプロジェクションマッピングは人に笑顔を与えることができます。こうしたものをどう活用できるか学べると思い、志望しました」

 必修科目が少なく、自分でカリキュラムを考えて幅広く学べる点も人気だ。社会科学、人文科学、自然科学の各分野の授業が用意されている。1、2年次に必修授業があるが、14単位のみ。早くから関心のある授業を選べる。3、4年次は必修がない。国際化にも取り組んでおり、外国語を習得する機会も充実している。合格した別の女性(18)はこう語る。

「国際経済や社会心理、環境生物学など学びたいことが多いので、ここは魅力的です。また、他の大学にはないタイ語も学べるので本格的に志しました。タイのドラマなどが好きなんです」

 学部の取り組みも評価されたようだ。コロナ対策として時間を問わず視聴できるオンデマンド型のオンライン授業を実施。課題のみを出す授業は学生の負担があるなど大きな教育効果は見込めず、秋学期から廃止した。ゼミはリアルタイムのオンラインで実施した。学部長の須田努さんは志願者の増加についてこう話す。

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