明治大のリバティタワー(左)、崇城大のキャンパス(右上)、杏林大の演習の様子 (各大学提供)
明治大のリバティタワー(左)、崇城大のキャンパス(右上)、杏林大の演習の様子 (各大学提供)
(週刊朝日2021年3月19日号より)
(週刊朝日2021年3月19日号より)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、私立大学への志願動向にもはっきりと出ている。これまで人気だった国際系は海外留学が難しくなり、大きく落ち込んだ。経済状況も見通しがよくないため、受験生らの目は厳しくなっている。そんな中で、人気を集めた「勝ち組」学部はどこだろうか。

【最新版!私大の系統別出願動向はこちら】

*  *  *

「今年は志願動向が大きく変わっています」

 こう話すのはベネッセ教育情報センター長の谷本祐一郎さんだ。同社が全国の主要私大186校を対象に調査した結果を見ると、私大志願者の合計は前年比88%と大きく減少している。

 背景にあるのは受験者数の減少だ。18歳人口が減ったことに加え、今年初めて実施された大学入学共通テストの影響で昨年の現役生は浪人することを避け、既卒生が少なくなっている。谷本さんはこう見る。

「コロナの影響で(感染者が多い)都市部の大学は敬遠されています。また、文系ではなく、就職が強い理系の学部に志願者が集まる『理高文低』の傾向が出ています。今年の志願動向は(合計の前年比)88%より多いか少ないかで人気を見ることができます」

「勝ち組学部」では、語学系と国際関係系が前年比で80%、83%と減っている。それにもかかわらず、立教大の異文化コミュニケーション学部(異文化コミ)の一般選抜は志願者が前年比172%と大きく増えた。

 なぜか。入試広報担当の和田務さんは「入試改革が成功した」と見る。

 立教大では今年、大学独自の英語入試を廃止。代わりに外部の英語資格・検定試験を導入、もしくは大学入学共通テストの「英語」の結果を使えるようにした。和田さんが説明する。

「共通テストでは英語外部試験の導入が見送られましたが、国際化を意識してこれまで英語4技能の実力を磨いてきた受験生は多い。異文化コミュニケーション学部はそうした受験生の受け皿になったと見ています」

 コロナ禍でも外国語学習に取り組める点が受験生を集めることにつながったようだ。いま取り組んでいるのはオンラインによる海外との交流だ。

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ