昨年8~9月にアフリカのルワンダとつなぎ、フィールドスタディー(現地学習)を実施した。ルワンダは1994年に少数派民族ツチ住民らが、多数派民族フツの政府軍や民兵らに虐殺された国だ。死者数は80万~100万人とも言われる。現地にいるコーディネーターがスマートフォンを通じて街の様子を紹介したり、生き延びた住民のインタビューをしたりした。

 また、現在はオランダの大学と連携し、学生らが議論などをする授業をしている。学部長の浜崎桂子さんはこう語る。

「現場の生活を体験できないとしても、現地の人と話すことで学べることは多い。どう話したらいいか、どうすれば説得できるかなど、うまくいかない体験から学んでいける。オンライン留学の実施も検討しています」

 新型コロナの影響で志願者が大きく減ると思われていたのは、医師や看護師などを育成する医療系の学部だ。コロナ患者が増えるに従って医療現場が逼迫(ひっぱく)する現状が伝えられ、過酷さを受験生が避けると見られていた。

 しかし、医学系は前年比91%、看護系も同91%で、全体の傾向と比較して志願者が集まった。そうした中でも杏林大の保健学部看護学科(看護学専攻)は一般選抜の志願者数が1378人で、前年比104%と増えた。看護学科に合格した女性(18)は言う。

「コロナで志願先を変えようとは思いませんでした」

 女性には助産師になるという目標がある。そのためには看護師免許も必要だ。助産師の姿を描いた小説『むかえびと』(藤岡陽子著)を読み、強く志すようになったという。

「コロナで大変な思いをしている医療関係者のことを考えると、以前よりも一層、自分も役に立ちたいと考えるようになりました」

 大学の取り組みも志願者増につながったと見られる。看護系の学部・学科では実習・演習授業は不可欠だが、今年度はコロナ禍で実施が難しくなった大学も多かったとされる。しかし、杏林大では多くの実習・演習を実施した。背景にあるのが付属病院の存在だ。

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