本格的に筋トレを行う場合、インターバルも含め30分~1時間をかけることが理想。一気に貯筋を増やそうと無理しすぎると、かえって逆効果になりかねない。

「それ以上やるとケガや関節痛のリスクが高まりますし、筋肉形成に必要なホルモン分泌を妨げ、かえって筋肉を傷めてしまう恐れがあります」(稲川氏)

 また、あごやのどの筋肉を鍛えることで、誤嚥性肺炎の危険を減らすことも心掛けたい。あごの筋肉を鍛えるにはまず、姿勢を正してご飯をよく噛んで食べることが大切。稲川氏によれば、意識的に鍛える際は、まっすぐ座り、あごの持ち上げ体操をするのがいいという。大声でしゃべる・笑う・カラオケで歌うといった行動も、呼吸機能の向上につながるのでおすすめだ。

 そもそも、現在の自分の筋肉量がどれくらいなのか、鍛えた結果、どれくらい「貯筋」が増えたのかが気になる人のために、「筋肉指標(マッスルインデックス)」という便利な指標がある。

【体重(キログラム)÷ウエスト(センチ)】

 という簡単な計算式で、自身の筋肉量の増減を知ることができる。

「日本人の数値の平均は0.6~1.0で、理想は1.0です。体重が増えてもウエスト値が一定なら、増えた体重は筋肉なので問題ありません。逆に体重が減ってウエストが一定ですと、筋肉量の低下を意味します。毎日同じ時間に測って比較しましょう」(福永氏)

 貯筋のためにもう一つ必要不可欠なのが、栄養状態の改善だ。毎日の食習慣を変えていくことが求められる。SNSでも活動する公認スポーツ栄養士の優生(ゆうき)氏はこう語る。

「筋肉を維持するには筋肉の分解を防ぐ食習慣が重要です。最も大切なのは朝食を必ず食べること。充実した朝食の摂取は筋肉の分解を防ぐだけでなく、その後の運動やトレーニングの効果を高めるとも報告されています」

 筋肉の分解を防ぐには、運動の前にエネルギーを補給することも重要だという。朝食前にトレーニングをすると、エネルギー不足で筋肉の分解を進めてしまう可能性が高いので注意が必要だ。

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