「企業から、本学の学生は『目標に向けて確実に行動できる』『成果にこだわってやり遂げる』と評価が高い。卒業生の20%強が有名企業に入社しており、結果として年収も良くなるのでしょう」

 関西の大学を見ていこう。同+関関近立(同志社・関西・関西学院・近畿・立命館)でトップだったのは、7位の同志社大596万円。続く関西学院大(12位567万円)に差をつけた。就職先を見ると、文系では三井住友銀行、日本生命保険など金融系の一流企業、理系ではパナソニックやダイキン工業など有名企業に多数進んでいる。就職塾「就活ステーション」(大阪)の吉田恵一代表講師が説明する。

「就活でも関関同立の中では同志社は頭一つ抜けています。大手志向の学生が圧倒的に多い。国立の京都大や大阪大、神戸大に落ちた学生も多いので、就活では負けたくないという意識も強く働いていると思います」

 大学関係者から「思っていた以上に高い」と言われるのが、13位の立命館大。562万円で関学大とほぼ一緒だ。

 立命館大は1999年に日本初のキャリアセンターを設置するなど、早くから就職支援に取り組んできた。仕事への意識の高い卒業生も多いと言われる。また、かつては苦学生が多い大学として知られており、今でも奨学金を充実させ、地方から多様な学生が集まる。「ハングリー精神の文化がある」という声もある。

 受験生の人気を集めて勢いに乗る近畿大は、平均年収では40位481万円と先の4大学に及ばない。だが、就活ステーションの吉田さんは言う。

「近年は、関関同立の学生を採ってきたような企業からも内定を取れるようになり、評価が高まってきています。同志社は別格としても、他の3大学と並べて見る企業も出てきています」

 産甲龍(京都産業、甲南、龍谷)では、甲南大が22位525万円と目立つ。コミュニケーション能力の高さで企業から一定の評価があると言われるほか、大学の担当者はこう付け加える。

「同窓会組織が充実していて、卒業してからも面倒を見てくれる先輩が多いのも強みです」

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2021年2月5日号より抜粋

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら